訛りのある英語が聞き取れない理由とその対策法!
2024.12.09
update 2024.12.09
皆さんは訛りのある英語の聞き取りに苦労された経験はございますか?
筆者はバックパッカーや海外の移住を経て様々な国の方と英語でコミュニケーションを取った経験があり、そこそこ自信があるのですが、それでもローカルの独特の方言や癖の強いスコティッシュアクセントを聞くことに苦労しています。
そこで、本記事ではなぜ訛りがある英語を聞き取れないのか、どんな訛りや方言があるのか、そしてどうやって聞き取れるようになるのかをご紹介します。
1. 訛りがある英語を聞き取れない4つの理由
早速ですが訛りがある英語を聞き取れない理由を説明していきたいと思います。聞き取れない理由をきちんと理解することによって、どうやって対策をしていくのかが明確になります。
それでは、見ていきましょう。
1.1 認識している音と聞こえる音に乖離がある
まずは、そもそも認識している音と実際に聞こえる音に乖離がある場合があります。具体的にどのようなことか、例を挙げてご説明します。
a lot of time
この発音をカタカナ英語で「ア ロット オブ」と認識をしていると・・・聞き取れません。実際は音と音が繋がるリエゾンが発生し、「アロロッv」のように発音されます。
Did you …?
もう一例見てみましょう。こちらもカタカナ英語で「ディドゥ ユー」ではなく、d と y がリエゾンして「ディッジュー」といった発音しています。
ネイティブが話す英語は、このように音と音が繋がったり、ほとんど発音されなかったりといったように文字として認識している音と実際発音される音が大きく異なることがあります。
特に日本人英語学習者は、聞くよりも”目で見て”英語を学習する傾向があるため、標準的なアメリカ英語やイギリス英語でも、音の変化の聞き取りに苦労しがちです。
訛りのある英語はこの音の変化がさらに大きくなるため、聞き取りもより難しくなります。
1.2 リアルな音声のリスニング量が足りない
次に、リアルな英語の音声のリスニング量が足りないということが挙げられます。
英語検定やTOEICなどの教材で色んな国の人の音声を聞いていると思うかもしれませんが、教材用の音声ほとんどなまりがなく、非常に整った発音となっています。また、教材用の音声なので雑音も一切なく、実際の会話よりもゆっくりと発音されています。
すこし話はそれますが、下記は日本語能力検定1級の聴解問題の音声です。
日本語ネイティブの私たちなら「実際の会話ではこんなゆっくりはっきりは話さない!」と思いますが、英語のリスニング問題の音声も実はリアルな発音とは全く異なったものとなっているのです。
洋画を字幕なしで見たときに全く発音が聞き取れないと感じたことがあるかもしれませんが、実はそちらの方が普段ネイティブが話しているリアルな英語です。
そのため、そもそもネイティブが実際に話す会話を聞いた経験値が少ないことが、訛りがある英語はさらに聞き取りになおさら苦労を感じてしまう原因となっています。
1.3 独自の発音ルールを理解していない
「訛り」というのは、言い換えるとその地域の独自の発音の仕方ということです。そのため、私たち日本人だけでなくネイティブスピーカーの人でも、その独自の発音ルールを分からないと聞き取ることができません。
例えば
bottle of water
というフレーズをイギリス人が発音すると、「ボッォル オヴ ウォーアー」のように、t が脱落して発音されます。
他にも
Today
こちらは通常、「トゥデイ」と発音されますが、オーストラリア人が発音すると「トゥダイ」になります。
このように、国や地域によって異なる独自の発音を理解していないと、聞き取ることが難しくなります。
1.4 独自のスラングや言い回しを理解していない
訛りは独自の発音の仕方と先述しましたが、表現そのものも地域によって独自性が生まれることがあります。
例えば、「bloody」という言葉があります。イギリスやオーストラリアで頻繫に使われるスラングで、強調や感情を表すために用いられます。「とても」や「すごく」といったニュアンスを加える表現で、例えば “bloody brilliant”(すごく素晴らしい)や “bloody awful”(ひどく最悪だ)のように使われます。
一方で、アメリカ英語ではほとんど使われないため、馴染みがない人には聞き取れても意味が分からないかもしれません。
このように、スラングや独自の言い回しは、知らない言い回しであれば聞き取りは難しく、また、たとえ音を正確に聞き取れたとしても、背景や意味を知らなければ理解することが難しいものです。
2. 代表的な聞き取りづらい訛りのある英語4選
次に、具体的にどんな訛りがあるのか、代表的な4つの訛りを解説していきます。
2.1 イギリス英語
まずは、聞き取りづらい英語の代表格として、イギリス英語があります。日本人はアメリカ英語を学びますが、実は世界的にはイギリス英語の方が多く話されています。そのため、聞き取れないと意外と不便です。
こちらはあの有名なイギリスの女優、エマ・ワトソンさんの gender equality についてのインタビューです。どれくらい聞き取れましたか?いくつかイギリス英語の発音の特徴をピックアップしたので、是非参考にしてください!
① 発音されない R
単語中や最後にある r は発音されません。
例
hair
アメリカ:ヘアー(r)⇔イギリス:ヘアー
first
アメリカ:ファ(r)ースト⇔イギリス:ファースト
car
アメリカ:カー(r)⇔イギリス:カー
② はっきり発音される T
アメリカ英語とは違い、t の音がはっきりと発音されます。
例
better
アメリカ:ベダー(r) ⇔イギリス ベター
little
アメリカ:リドゥ⇔イギリス:リトゥ
water
アメリカ:ウォーラー⇔ イギリス:ウォーター
③ 肯定文でも文末があがる(アップスピーク)
疑問文ではなくても、文末を上げて発音される場合もあります。
例:Hi, I’m Emma (⤴) I’m from the UK.(⤴)
こちらは、イギリス人だけでなく、オーストラリアやニュージーランドでも、このような話し方をする人は沢山います。
2.2 インド英語
次にインド英語をご紹介していきます。インド人が話す英語には独特な訛りがあるだけでなく、かなり早く話す人が多い印象です。筆者も、インド英語には苦手意識があります。
それでは以下で、インド英語の特徴を見ていきましょう。
① r の発音
インド英語は r をしっかりと発音する傾向にあります。
例
water
アメリカ:ウォーター」⇔インド:ウォータル
park
アメリカ:パ(r)ーク⇔ インド:「パルク」
② thの発音
th の音もかなりやっかいで、「タ」や「ダ」として発音する人が多い印象です。
例
Thank you
アメリカ:センキュー⇔インド:タンキュー
thirsty
アメリカ :サースティー⇔インド:タースティ
③ fの発音
f の音は v の音に近く、聞き取ることがかなり難しいです。
例
fire
アメリカ:ファイヤー⇔インド:バイヤー
finger
アメリカ:フィンガー⇔インド:ブィンガル ※r もしっかり発音します
2.3 オーストラリア英語
次に紹介するのはオーストラリア英語です。筆者はオーストラリアに住んでおりましたが最初の半年間は正直ほとんど現地の人が何を言っているのかが分かりませんでした。
① aの発音
オーストラリア英語では、「アイ」のように発音します。
例
today
アメリカ:トゥデイ⇔オーストラリア:トゥダイ
② rの発音
アメリカ英語だと軽く舌をまくような形で発音しますが、オーストラリア英語では日本人のカタカナ英語のような発音に聞こえます。
例:
river
アメリカ:リバー(r)⇔オーストラリア:リバー
forver
アメリカ:フォーエバー(r)⇔オーストラリア:フォーエバー
③ 略語が多い
発音の話題とはそれてしまいますが、オーストラリア人は略語をかなり使います。このことが分かっていないと、聞き取る時にかなり苦労します。
arvo=afternoon (午後)
barbie=barbecue(バーベキュー)
Aussie=Australian(オーストラリア人)
Macca’s=McDonald’s(マクドナルド)
mozzie=mosquito(蚊)
2.4 スコットランド
スコットランド英語は英語を母国語としている人にも聞き取りづらいと言われています。上記の動画は、ディズニー映画の「メリダとおそろしの森」に出てくるワンシーンですが、正直筆者も全く聞き取れませんでした。少しでもスコットランド英語を聞き取れるように、ひとつひとつの発音の仕方を見ていきましょう!
① t の発音
スコットランド英語では、t を「ッ」のような音で発音します。
water
アメリカ:ウォーラー⇔スコットランド:ウォーッアー
② 語中の r 発音
語中にある r の音が、スペイン語のような巻き舌で発音されることがあります。
alright
アメリカ:アールライt⇔スコットランド:アールrrrァィt
③ oの発音
o の音は、エの口でアという風に発音します。
no
アメリカ:ノー⇔スコットランド:ネー
3. 筆者の独断で特に癖が強いと思う訛り2つ
これまで各国の聞き取りづらい英語を紹介しましたが、ここからは筆者が個人的に聞き取りづらいと思っている地域の英語(ダイアレクト)について紹介していきたいと思います!
3.1 コックニーアクセント
Cockneyは、ロンドンのイーストエンドで労働階級の間で話されている言葉で、いわば下町言葉のようなものです。発音に癖があり、独自の韻を踏んだスラングを使うので、初見ではほとんど聞き取れないと思います。それでは発音の特徴と独自のスラングを見ていきましょう!
① t の音
コックニーの英語では、t を「ッ」のような音で発音します。これはイギリス英語全体で言えることですが、コックニー英語の場合かなり大げさに発音されますね。
例
water
アメリカ:ウォーラー⇔コックニー:ウォーッアー
② 有声音のthの音
th (有声音)を v の音で発音する傾向があります。
例
mother
アメリカ:マザー⇔コックニー:マヴァー
clothes
アメリカ:クローz⇔コックニー:クローヴs
③ 無声音のthの音
th (無声音)のthが、f の音になります。
例
Thursday
アメリカ:サーズデイ⇔コックニー:ファーズデイ
Thank you
アメリカ:サンキュー⇔コックニー:ファンキュー
④ コックニーライミングスラング
コックニーライミングスラングとは韻を踏むスラングのことです。通常の英単語を、韻を踏む表現(2つか3つの単語)に言い換えて話します。
wrong→Pete Tong 意味: 失敗した
We were so close to finalizing the deal, but it’s gone Pete Tong now.(契約を結ぶところまで行ったのに、今はうまくいかなくなってしまった。)
phone→dog and bone 意味:電話する
I’ll give you a bell on the dog and bone.(電話をかけるよ。)
3.2 サザンアクセント
サザンアクセントといえば、あかの有名な「フォレストガンプ」ですよね!
Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.
(人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない。)
上記のセリフで有名です。
サザンアクセントの大きな特徴は、the Southern drwal と呼ばれるもので、ゆっくりとした話し方で母音が伸びることを指します。以下で解説していきます。
① 伸びる母音
サザンアクセントで顕著に表れるのは、伸びる母音です。
例
bed
アメリカ:ベッド⇔サザン:ベイエッド
get
アメリカ:ゲット⇔サザン:ゲイエッド
② r を発音しない
アメリカ英語では r を発音しますが、サザンアクセントでは r を発音しない傾向にあります。
例
mother
アメリカ:マザー(r)⇔サザン:マザー
father
アメリカ:ファーザー(r)⇔サザン:ファーザー
③ スラング
南部地域に特有のスラングがあります。
Y’all 意味: you all の略
Y’all coming to the party tonight?(今晩のパーティーに来る?)
Howdy 意味: こんにちは
Howdy! How’s everything going?(やあ!調子はどう?)
4. 癖のある英語に強くなるための勉強法3選
ここまで色々な国の発音や方言を見てきましたが、ここからは実際に癖のある英語を聞き取るためにはどうしたらいいのかを解説していきますね!
4.1 シャドーイングをして音に慣れよう
まずはシャドーイングというトレーニング方法がございます。シャドーイングをすることによって、一つ一つの音を確認することができるので、是非挑戦してみてください!
① 音声を選ぶ
自分のレベルに合った音声教材を選びます。基本的には、映画、ポッドキャストなど、自分の興味に合ったものがおすすめですが、かならずスクリプトが確認できる音声を選ぶようにしましょう。先ほど紹介した 癖のある音声をシャドーイングすることによって、聞き取りづらい音を一つ一つ確認することができます。
② 日本語のスクリプトを確認する
シャドーイングは取り組み方を変えることで様々なスキルを伸ばしていくことができますが、この記事でおすすめしたいのは「シャドーイング前に内容をしっかりと理解する」という取り組み方です。
「意味はよくわからないけど、とりあえず音だけ真似してみよう」と思ってぶっつけ本番でシャドーイングをしても、意味が分からない単語が登場したり、文脈が理解できていないと正しくシャドーイングができず効果が落ちてしまいます。
最初に日本語で意味を理解することで、音声に集中することができ、効果の高いシャドーイングを実践できます。
③ 音読をする
日本語で意味を理解したらシャドーイング!ではなく、もう1ステップ、音読に取り組んでみましょう。初めて見たこの英語をまず自分なりに読んでみます。音読してみると「この部分はちょっと口が回らない」とか「ここの音は繋がって発音される」といった目で見るだけでは気づけないポイントが多々あることが分かります。
このように音読をしてみることによって、シャドーイングをよりスムーズに行えるようになります。
④ シャドーイングをする
音声を再生しながら、発音やイントネーション、リズムを意識して音声の直後に続いて発話します。
シャドーイングでありがちな落とし穴は「ついていくことに必死で音声をほとんど聞いていない」ということ。聞いている音声のスピードについていこうと必死なあまり、発音が崩れてしまい、結局ただ早口で英語を話しているだけになってしまうことが多いです。
シャドーイングで重要なのはスピーカーの発音を集中してよく聞き完全に真似ること。そうすることで単語の正しい発音が身につくだけでなく、前後の文脈も含めて理解することができます。
上記の理由から、ナチュラルスピードでのシャドーイングが難しければ、はじめは速度を落としてシャドーイングをしても十分効果があります。
⑤ 繰り返し練習
1回だけでは終わらせず、何回も繰り返し練習を行うことも大切です。
シャドーイング後に、試しにスクリプトなしでもう一度音声を聞いてみてください。内容の理解度がかなり上がっているので、一番最初に聞いたときよりもかなり聞き取れるようになってビックリすると思います!
また、シャドーイングは録音をして後から聞きなおしてみることもとても効果的です。最初は録音した自分の声を聞いてみると発音がめちゃくちゃで聞きたくないと思うかもしれませんが、理解できずうまく発音できていない箇所が鮮明になります。
これを繰り返していくことで、癖のある英語でも聞き取ることができるようになります。
4.2 YouTubeなどを使って、訛りのある英語をとにかく聞く
ここまで色んなアクセントや方言を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。ほとんどの英語はかなり癖が強いので聞き取ることはかなり難しいですが、逆に言うと慣れてしまえば普通の英語と変わらず聞き取ることができます。
以下で癖の強い英語を無料で聞くことができるYouTubeを紹介するので、是非沢山聞いて音に慣れていきましょう。
① ACCENT TAG
YouTubeで accent tag と検索すると、色んな地域の英語を聞くことができます。ご自身が苦手とする地域の発音を聞いて音に慣れることもできます。また、定性が整った英語を聞くだけではリスニング力は上がらないので、一般の方が話している少し砕けた英語に慣れるのもリスニング力を伸ばす一つの手段です。
② ELLO
こちらはELLOというフリーサイトで色んなアクセントを学べるサイトです。特徴としてはスクリプトと単語がいくつかピックアップされているので、シャドーイングにもお勧めです。
③ だいじろー Daijiro
https://www.youtube.com/@daijirojp
こちらはダイジローという日本人ユーチューバーが発音に特化して様々な発音について解説しています。日本人が陥りがちなカタカナ英語について体系的に解説をしてくれたり、各国の発音の特徴について詳しく解説しておりますので、是非見てみてください!
4.3スラングや言い回しを学び、理解度を高める
このブログでも紹介しましたが、特有の地域で話される英語ではスラングが頻繁に飛び交います。いくら音を理解して聞き取れたとしても、スラングを理解していないと相手が何を言っているのかわかりません。以下で紹介するサイトを使って、スラングへの理解力を高めていきましょう。
① Urban Dictionary
https://www.urbandictionary.com/
こちらはスラングに特化したオンライン辞書です。無料で利用でき、普通の辞書に載っていないスラングなども調べることができます。映画などでスラングを見かけたら、すぐにこちらの辞書を使って調べましょう!!
② engVid
https://www.engvid.com/british-english-slang-what-does-it-mean/
engVIDでは、無料でオンラインビデオレッスンを提供しています。文法や発音だけでなく、スラングやフレーズについてのレッスンも提供しているので、ぜひ活用していきましょう!!
まとめ
実際に読んでみていかがでしょうか?
少しは難しいアクセントに対して苦手意識はなくなりましたでしょうか?アクセントに関しては、シャドーイングを通じてひとつひとつの発音をきちんと理解した上で、沢山音を聞いて慣れるしかありません!なので、上記で紹介したYouTubeなどを通じて、難しいアクセントに慣れましょう!!また、独自のスラングも把握しておくと、より理解度が高まります。
Writer
One Month Program
グローバルで活躍できる人材のための英語情報を発信します。
ビジネスに特化した1か月の超短期集中英語プログラム
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