初めての海外出張は、慣れ親しんだオフィスから離れ、異国のビジネス環境で実務を行う大きなステップです。
特に、出発前にそろえておくべきものや、現地での会議やプレゼンなど、準備すべきことが数多くあります。
本記事では、事前準備から現地での対応、出張後のフォローまで、円滑に業務を遂行するためのポイントをわかりやすくご紹介します。充実した海外出張体験のために、ぜひご参考にしてください。
目次
1. 海外出張に必要な手続きと準備
海外出張の準備は、ビザやパスポートの確認から始まります。特に、出張先によっては渡航手続きに時間がかかることもあるため、出発までのスケジュールをしっかり把握し、早めに必要な手続きを進めておくことが重要です。
このセクションでは、ビザ取得や渡航準備に欠かせない基本手続きをわかりやすくご紹介します。
1.1 出張に必要なビザ・渡航手続き
出張が決まったら、まずはビザの確認を行いましょう。短期出張であれば観光ビザや商用ビザ(B1ビザ)が該当しますが、業務内容や出張期間によっては他のビザが求められる場合もあります。出張が決まったらすぐに総務部など社内の手続きを行ってくれる該当部署に連絡してビザの確認を行ってください。
ビザ申請はオンラインで手続き可能です。米国への出張の際に必要なESTA(電子渡航認証システム)での渡航が可能な場合もありますので、まずはサイトで確認してみてください。
●ESTA(電子渡航認証システム)の詳細についてはこちら(外務省)
ESTAの申請は旅行代理店などを通すと費用が増える場合があります。公式サイトから申し込むといいでしょう。サイトの言語も日本語に切り替えられるのでスムーズに申請できます。
●公式ESTAの申請ページはこちら(アメリカ合衆国税関・国境警備局 )
また、忘れがちなのはパスポートの残存有効期間です。残存有効期間は国によって違ってきますので、早めの確認が重要です。出張が決まってからだと更新まで時間がないこともありますので、パスポートの有効期限は定期的にチェックすることをお勧めします。
1.2 海外出張に便利な持ち物
海外で必要なものを現地調達するというのは、海外出張に慣れている人でも難しいものです。
ここではどの国に渡航する場合でも、必ず持っていきたい3つのアイテムをご紹介します。
携帯電話の充電器と変換プラグ
まずひとつめは充電器と変換プラグです。日本とコンセントのプラグが違う国が多くありますので、必ず事前に確認し、必要であれば変換プラグを持っていくようにしましょう。
Apple製品などグローバルに展開しているプロダクトであれば、現地で充電器を購入してしまうのも一つの手です。ただ、日本製品の適切な電圧と現地の電圧が異なっている場合、充電は出来ているけれどもバッテリーへの負荷がかかってしまい、最悪故障してしまうこともあるので注意が必要です。
Wi-FiルーターまたはSIMカード
移動中にインターネット接続が頻繁に必要な場合、現地のSIMカードを利用するか、日本で事前にポケットWi-Fiをレンタルするのがおすすめです。
公衆wifiはセキュリティが低く、情報漏洩につながってしまう可能性もあるのでお勧めできません。
薬や医療用品
お守り代わりとして、日本で販売している薬や医療用品を持っていくと安心です。現地でも薬は購入できますが、日本と成分量が異なっていたり、薬を服用することで体調が悪くなってしまう可能性もあるので、普段使う薬のみならず胃薬や鎮痛剤などもしかしたら使う薬も準備しておきましょう。
2. 英語でのコミュニケーション
現地でのコミュニケーションも、海外出張では重要なポイントです。特に英語でのビジネスシーンに慣れていない場合、事前に会話力を磨いておくことで、出張中の自信が格段に増します。
ここでは、短期間で効果的にビジネス英語をブラッシュアップする方法や、異文化でのコミュニケーションスキルについて具体的な対策を紹介します。
2.1 短期間でのビジネス英語のブラッシュアップ
海外に出張する際に一番心配となるのは英語力という方も多いのではないでしょうか。
特にプレゼンテーションや会議、商談の場では、専門的なビジネス英語や即時の対応力が求められます。海外出張が決まったらその準備として、短期間の英会話スクールに通うことは非常に効果的です。出張までは時間がない方も多いため、一般的な英会話スクールでテキストに沿った会話を繰り返すのではなく、自分が出張で使うと想定される英語を選んで、それを集中的に学習することが英語で出張する際には最も重要です。
テンナイン・コミュニケーションが提供しているOne Month Programは最短1カ月で修了できるビジネスパーソン向けのパーソナルトレーニングプログラムで、海外出張を控えている方に最適です。
2.2 会議や商談での効果的なコミュニケーションスキル
英語でのコミュニケーションは単に言語の問題ではなく、文化的な違いやビジネス慣習の違いを含めた知識が求められる場合もあります。以下に気を付けるポイントをまとめてみました。すべてを完ぺきにこなすことは難しいですが、少しでも気を付けることで効果的なコミュニケーションが実践できるかもしれません。
明確で簡潔な発言が好まれる
英語圏でのビジネスシーンでは、シンプルかつ直接的なコミュニケーションが好まれます。また母語でない英語で話す場合はなおさらシンプルな言い回しを使った方が意図が伝わりやすくなります。要点を簡潔にまとめ、相手に誤解を与えない表現を心がけましょう。
積極的に質問する
海外では意見交換や質問が活発に行われます。質問することで不明点が明確になるだけでなく、積極的な姿勢をアピールすることができます。
質問ひとつをとっても、日本と海外で文化の違いが影響している点が多くあります。
日本だと「もしかしたらすでに説明があったかもしれない」と質問をするときには慎重になりますが、海外では分からないことはすぐに質問することが当たり前です。
また、日本の会議では話が終わるのを待ってから質問することがマナーとされている部分がありますが、海外ではわからないことがあったら話の途中でも割り込んで質問してくることがあります。
このような違いを知り、現地のスタイルに合わせて積極的に質問していきましょう。
非言語コミュニケーション
アイコンタクトや表情、ジェスチャーも場合によっては重要です。自信を持った態度や前向きなボディランゲージは、信頼関係を築くのに役立ちます。日本人には苦手な分野ですので、無理せずできる範囲で挑戦してみましょう。
ビジネス英語の準備と併せて、こうしたコミュニケーションスキルを実践で活かすことで、商談や会議をより効果的に進めることができるでしょう。
3. 会議のための準備
初めての海外出張での会議やプレゼンに臨む際は、資料作成や練習といった事前準備が重要です。特に英語でのプレゼンでは、シンプルで効果的な資料づくりと、流暢な説明が求められます。事前にどのような準備が必要か、資料作成のポイントと共に、Q&Aへの対応方法も詳しく解説していきます。
3.1 会議資料作成と事前練習法
資料作成は会議の結果を決める重要なポイントとなります。特に英語での資料作成となると日本語以上に事前準備を行う必要があります。また当日落ち着いて話をするためにもプレゼンのリハーサルなど練習を行うことをお勧めします。
資料はシンプルなデザインで
凝ったテンプレートやスライドにアニメーションを使用するのはビジネスではお勧めしません。デザインはシンプルにして、見た目もプロフェッショナルな資料を作成しましょう。
箇条書きで要点をまとめる
日本語のプレゼンテーションはともすれば口頭で説明する内容をすべて文章として記載している場合もありますが、英語での資料では要点を箇条書きで整理する方が効果的です。英語が得意でない場合、資料に書き込んだ内容を読み上げたい気持ちがあるかもしれませんが、説明文はスライドではなくノートにまとめて自分にだけ見えるようにしておきましょう。
事前のリハーサルには参加者を
資料が作成出来たらリハーサルを行いましょう。一人で練習するのではなく、英語が堪能な同僚や上司に見てもらってフィードバックをもらいましょう。十分なリハーサルは話し方や資料の完成度を上げるだけでなく、当日の緊張を和らげる効果もあります。
3.2 Q&A対策
会議やプレゼンの後には、質問応答(Q&A)の時間が設けられることが一般的です。何を聞かれるかわからないQ&Aが苦手という方も多いのではないでしょうか。実はQ&Aも事前準備をすることで負担が軽減されます。
事前準備の方法
自分の発表内容に関連して、どのような質問が想定されるかを予測し、回答を準備します。リハーサルをしたときに同僚や上司から質問してもらうとより現実的な質問を想定されることができるでしょう。
明確に回答する
答えがわかりづらかったり、曖昧に終わってしまうと、信頼を損なう可能性があります。かといって直接的な表現になると誤解を与えてしまう可能性も。回答しにくい場合の英語表現をいくつか準備しておくと質問の時にスムーズに対応できます。
テンナイン・コミュニケーションでは英語プレゼンの直前対策に最適なプレゼンテーション特化コースを提供しています。①原稿とスライドの添削、②ネイティブ講師とのリハーサル、③Q&A対策と直前の練習に適した内容のみをコンパクトに受講できる点で利便性の高いプログラムとなっています。
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4. 出張中の自己管理
慣れない環境や異なるタイムゾーンで活動する際は、時差ボケや体調管理に気を配ることが求められます。また、日本で働いている時以上に心身ともにさまざまなストレスがかかります。
このセクションでは、時差ボケ対策や現地での健康維持方法、出張中のストレス緩和のためのリラックス法についてお伝えします。
4.1 海外出張中の健康管理
海外出張では、環境や気温の変化や時差、スケジュールの過密さなどにより体調に影響が出やすくなります。不慣れな環境で緊張も高まり心身ともに負担がかかるため、健康管理は非常に重要です。
時差ボケ対策
時差ボケは何度経験してもなかなか慣れることができませんね。もし午前中に現地に到着するフライトであれば、飛行機の中で睡眠を取り、到着後すぐに現地時間に合わせたスケジュールで行動することで、時差ボケの影響を最小限に抑えることができます。また、積極的に日光を浴びて体内時計を調整するのも有効です。
適度な運動を心掛ける
出張中は運動不足になりがちなため、ホテルのジムやプールを使ったり、近隣をジョギングしたり意識して体を動かしましょう。運動が苦手な方はホテルの周りを散歩するだけでもリフレッシュできると思います。
4.2 緊張を和らげる方法
海外出張では、新しい環境で初めて会う人たちとコミュニケーションを取るため緊張やストレスを感じることが少なくありません。重要な会議やプレゼンを控えていると、さらにプレッシャーがかかることもあるでしょう。
呼吸法や瞑想を活用する
深呼吸や瞑想は、短時間で心を落ち着ける効果があります。緊張を感じたときや、プレゼン前の不安を和らげたいときには、数分間の瞑想や深呼吸を取り入れるとリラックスしやすくなります。深呼吸は吸う方ではなく吐く方を意識して行いましょう。
十分な休息を取る
休息が取れないとさらに緊張が高まり、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。資料をギリギリまでチェックしたい気持ちもあるかもしれませんが、翌日にベストな状態で参加するためにも、会議の前日は十分な休息を取り余裕をもって翌日をスタートさせましょう。
5. 出張先での人間関係の築き方
海外出張において、現地でのネットワーキングは一時的な関係構築にとどまらず、今後のビジネス成長に欠かせない基盤を築くための機会となります。
文化や商習慣の異なる環境で、信頼関係を構築するには、相手の立場を理解しながらアプローチすることが求められます。出張先での効果的な人脈づくりを通じ、帰国後も続く貴重なビジネス関係を築くためのポイントを紹介します。
5.1 初対面の相手に好印象を与える
初対面の相手に好印象を与えることは、その後のビジネス関係を円滑に進めるための鍵となります。言葉のハンデがあっても誠意は相手に伝わります。シャイになりすぎずにオープンな態度を意識して心がけてみましょう。
自己紹介を工夫する
初対面で自己紹介するときには、名前や役職だけでなく、簡単な背景や仕事に対する熱意を含めると良いです。例えば、 ”Hello, I’m Aya, and I’m excited to work with your team on this project.” など、自己紹介の中にさりげなく組み込むことで、相手との距離が縮まります。
オープンな質問をする
初対面では、相手の興味を引き出すようなオープンな質問を心がけると、スムーズな会話ができます。例えば ”What’s your experience with this type of project?” など、相手に話す機会を与えることで、信頼感を高めることができますし、英語が苦手な方はうまく話を引き出して聞き役に徹するのもいいかもしれません。
5.2 文化や習慣の違いを超えて信頼を築く
異文化でのビジネス環境では、文化や習慣の違いに配慮した対応が、信頼関係を築くうえで重要です。あらゆる国の文化や習慣を把握することは不可能ですが、ちょっとした配慮で良好な関係性を築くことができます。
相手の国に関心を持つ
まずはビジネスの相手となる人そしてその出身国に興味を持ちましょう。あらかじめ会議の参加者がわかっているのであればその国について調べてみることは非常に有効です。自分の国に関心を持ってくれる人を嫌がる人はいないと思います。
共通の目標を強調する
異文化間での協力を成功させるには、共通の目標を強調することも効果的です。プロジェクトや商談の際には、双方が目指す結果や利益を明確にし、それに向けた協力を呼びかけることで、文化の違いを超えたチームワークが生まれます。
6. 出張後のフォローアップ
海外出張は帰国して終わりではなく、その後のフォローアップが非常に重要です。
出張先で行った会議の内容や決定事項、連絡を取る必要がある相手とのフォローアップを確実に行うことで、出張の成果をより実りあるものにできます。帰国後の行動次第で、今後のビジネス関係をより強固にすることも可能です。
6.1 出張で得た関係を維持する
出張先で新たに築いた関係は、今後のビジネスの成功のために非常に重要です。帰国後は、まずお礼のメールを送ることから始めましょう。感謝の意とともに、具体的なミーティング内容に触れ、相手にとってのメリットや進展の可能性を示すとさらに効果的です。相手からの進捗のメールがあったらすぐに反応するようにすれば信頼できる相手として認識してもらえます。
6.2 出張の成果を社内に共有する
出張での学びや成果を社内で共有することは、チーム全体のスキルや知見を高める機会となります。出張の目的、重要な議題、得られた知見、今後の課題やアクションプラン、これからの予定について整理してわかりやすく報告しましょう。特に上層部や関係部署には、成果をビジネス目標と関連付けて報告することで、今後も海外とのやり取りを安心して任せられる、と認識してもらえるでしょう。
Writer
One Month Program
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