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【通訳エージェント監修】会議で英語が聞き取れない原因と対策を解説

2024.08.26

update 2024.10.25

「会議に参加しても何を言っているのか分からない」
「ネイティブ同士の話すスピードが早すぎて追いつけない」

このような経験をした人は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

筆者自身も聞き取りには苦労しましたが、英語学習を重ね、今では英語での会議についていけるようになりました。

本記事では、筆者の経験も踏まえ、英語の会議で聞き取れるようになるために取り組むべきことを解説していきます。

1.  英語の会議で聞き取れないのは一度で聞き取れる情報が少ないから

「英語の会議で聞き取れない」という問題を突き詰めて考えてみると、「全く聞き取れない」というよりは「一度聞いただけでは理解できない」ということに近いのではないでしょうか。

つまり、一回聞いただけではなんとなくしか分からないけれど、もう一度聞いたらだいぶ理解できるといった感覚です。

少し話がそれますが、通訳研究の中にEffort Modelという理論があります。

これは通訳者が通訳をする際には

・L(Listening and Analysis):リスニングし分析(意味を理解)する
・P(Production):目標となる言語でアウトプットする
・M(Memory):情報を記憶する
・C(Coordination):L、P、Mの3つの認知処理のバランスを調整する

という4つの認知的処理を行っているというものです。この中の聞き取りに関する処理”L”では、「聞くこと」と「分析すること」の2つを行っているとされています。

この理論を元に考えると「一度で聞き取れない」という問題には、大きく2つの原因があると考えられます。
① 英語の発音を捉え切れていない→そもそも何と言っているのか分からないという状態
② 英語は聞けているが理解しきれていない→音としては認識しているが情報として理解できていないという状態

より具体的には、下記が原因となっていると考えられます。

リスニング力に関係する原因
・スピードについていけない
・アクセントに対応できない
・低音質やノイズの影響

情報処理力に関する原因
・分からない単語がある
・英文の理解に時間がかかる
・背景知識が不足している

次章以降で、上記について詳しく解説していきます。

2. リスニング力に関係する原因3つ

まずはリスニングに関係する下記の3つの原因について解説してきます。
・スピードについていけない
・アクセントに対応できない
・低音質やノイズの影響

2.1. スピードについていけない

まず一つ目の原因は「スピードについていけず音を捉え切れないこと」です。

日常会話と違って、会議は限られた時間の中で結論に至らないといけないため、どうしても話すスピードが早くなりがちです。

ただ、ネイティブスピーカーの話す英語が早いというのは、早口で話しているというわけではありません。英語が早く聞こえるのには、音の変化とリズムの取り方の違いが関係しています。

音の変化

ネイティブスピーカーが話す英語は、音が繋がったり、脱落したりといった文字通りではない発音を滑らかに行っています。そのため、ネイティブスピーカーの英語はかなり早く聞こえてしまい、結果聞き取れないという事態に陥ってしまいます。

音の変化には例えば下記のようなものがあります。

リエゾン:音と音が繋がる
例 Could you「クッド ユー」→「クッジュー」(dとyの音が繋がる)

子音の脱落:g、t、kなどの子音が弱く発音される、あるいはまったく発音されない
例 thinking 「シンキング」→「スィンキン」(最後の g はほとんど発音されない)

リズムの取り方の違い

日本語と英語ではリズムの取り方が異なっており、この違いが早く聞こえる原因となっています。

どのようなことかというと、日本語には「五十音」があるように、ひらがな一つ一つに一拍を置く発音をしています。
例えば
● ● ● ● ●
あ り が と う
とそれぞれのひらがなに拍が置かれ、計5拍で発音されます。

一方、英語では
●  ●
Ari gato
と1拍でAri、もう1拍でgatoの計2拍で発音され、日本語よりも早くぎゅっと短くなったように発音されます。英語は拍ではなくストレス(=重要な単語を強く長く発音し、重要ではない単語は弱く短く発音される)を重視する言語のため、リズムの取り方に違いが生まれ、一文字に一拍とって発音する日本人が聞くと早いと感じる原因となります。

2.2 アクセントに対応できない

二つ目の原因は「アクセントに対応できないこと」です。

英語には多くの異なるアクセントがあり、特に国際的な会議では、さまざまな地域から参加者が集まることが多いです。イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、さらには非ネイティブスピーカーの英語も交じるため、異なる発音やアクセントに対応する必要があります。

アクセントの違うことによって、文章全体のリズムやイントネーションが大きく変わることがあります。例えば、アメリカ英語の話し方はよりフラットで、イギリス英語はより抑揚が強いことが特徴です。

リズムやイントネーションは英語を聞き取る上で非常に重要な要素で、ネイティブスピーカー同士でもアクセントが異なるとお互い全く理解できないという状況になることもあります。

2.3 低音質やノイズで聞き取りが難しくなる

三つ目の原因は「低音質やノイズの影響」です。

オンライン会議ならではの原因ではありますが、音質の問題や背景のノイズが聞き取りを難しくすることがあります。例えば、スピーカーのマイクの質が悪かったり、通信状態が不安定で音声が途切れる場合、英語の音声が聞き取りにくくなります。

3. 情報処理力に関する原因3つ

次に、情報処理力に関する下記の3つの原因について解説していきます。

・分からない単語がある
・英文の理解に時間がかかる
・背景知識が不足している

3.1 分からない単語がある

一つ目の原因は、「発言の中に分からない単語やフレーズがあること」です。
初めて聞く単語があることで、英文の理解に時間がかかってしまいます。

こちらの音声を聞いてみてください。

上記の音声ではこんなことを言っていました。

Before we proceed with the project, could you give me a ballpark figure of the expected costs?
(プロジェクトを進める前に、予想されるコストの●●を教えていただけますか?)

みなさん、ballpark figure(概算)という表現はご存じでしょうか。
この表現を会議で初めて聞いたという状況であれば、一度での聞き取りは難しいかもしれません。

またballpark figureという単語を聞き取れたとしても、意味がすぐに分からなければ、上記の例文のように文章の一部が欠けてしまっている状態です。発言を遮って意味を聞くわけにもいかず、文脈から意味補完する部分に頭を使ってしまうと、どんどん会議が進んでしまい、ついていけなくなってしまいます。

3.2 内容の理解に時間がかかる

二つ目の原因は「聞こえた英文の内容を理解するのに時間がかかること」です。
「聞き取れているし単語もわかる。けどすぐに理解できない。」という方はこのパターンに当てはまっているかもしれません。

会議中に聞こえた英語が理解できる単語やフレーズであっても、その内容を自分の中で整理して理解するプロセスに時間がかかることがあります。特に、複雑な文法構造や長い文の場合、頭の中でその内容を分解しながら意味を把握するのに時間が必要です。

例えば、主語と動詞の関係が複雑な文や、多くの修飾語が含まれる文を聞いた場合、一度で全てを理解するのが難しくなります。これは、英語を音として聞き取れても、情報として頭の中で処理するスピードが遅れることが原因です。結果として、文が理解できるまでに時間がかかり、その間に次の発言が進んでしまい、全体の流れについていけなくなります。

3.3 背景知識が不足している

三つ目の原因は「背景知識が不足している」ことです。
内容が難しかったり専門的であったりすると、理解に時間がかかってしまいます。

まずはこちらの音声を聞いてみてください。

下記の基地局に関しての文章について発言していました。

無線通信ネットワークにおいて重要な役割を果たすインフラであり、特定の地理的エリア内でモバイルデバイスとネットワークコア間のデータと音声信号を中継する役割を持ちます。基地局は、無線周波数(RF)技術を利用して通信を行い、ネットワークの容量とカバレッジを最適化します。

私たちは日本語ネイティブなので、それぞれの単語には馴染みはあり、聞き取り自体は問題ないはずです。

しかし、通信業界に関する知識が不足しているので、一度聞いただけでは何について話しているか理解できなかったと思います。

英語でも同様で、音声としては聞き取れていても、それを理解するための知識が不足していると結果的に会議についていけないという事態に陥ってしまいます。

4. 一度で英語を聞き取れるようになるために取り組みたい4つのトレーニング

ここまで会議で一度で聞き取れない原因をリスニング力と情報処理力という2つの側面から解説してきました。

対策として
① 英語を正確に聞き取るリスニング力
② 聞こえた英語の意味をすぐに理解できる情報処理力
の2つを鍛えていけば、英語を一度で聞き取り理解して会議についていけるようになるはずです。

この章では具体的な4つのトレーニング方法について解説していきます。

4.1 ディクテーションで現在のリスニング力を可視化する

ディクテーションとは、聞いた内容を正確に書き起こすトレーニング方法です。
聞こえた音声を一言一句書き起こすので、ご自身の英語力を可視化することができます。

ディクテーションを行うと、書き起こせなかった、書き間違えてしまったというようなミスが発生しますが、このミスを見ることで正確に書き起こせなかった原因がわかります。

具体的には
①知らない単語だった→語彙不足が原因
②単語を聞き間違えた→語彙不足が原因
③見たらわかるフレーズだったが聞き取れなかった→音の変化を聞き取れないことが原因
④聞き落としてしまった→文法力不足が原因

ディクテーションの詳しい解説はこちら

このディクテーションは、音質が悪かったりノイズが入ったようなリアルな会議に近い音声を使うとさらに効果的です。

音質の悪い音声教材はなかなか見つけにくいと思いますが、One Month ProgramというパーソナルトレーニングのMasterコースでは、意図的に雑音や音声の途切れを入れた音声教材を使ってディクテーションができます。

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4.2 初見の内容をシャドーイングしてリスニング力を大幅アップ

シャドーイングは、聞こえたネイティブの音声を、影のようにあとから少し遅れて発音するトレーニング方法です。シャドーイングの取り組み方を変えることで、語彙力、発音、リスニング力、スピーキング力など様々な効果が得ることができます。

通常のシャドーイングであれば、スクリプトを確認し音読して・・・と準備をしたうえでシャドーイングに取り組みますが、今回は「一度で聞き取れるようになる」ことが目的なので、スクリプトの確認や音読をすっ飛ばし、ぶっつけ本番でシャドーイングをしてみます。

このやり方はかなり負荷が高く、最初のうちはほとんどついていけないかもしれません。最初はスラスラシャドーイングができなくても問題はないのですが、シャドーイングをした後は必ずスクリプトを確認し、復習をするようにしてください。

負荷の高いトレーニングですが、一度で聞き取らないといけないという実際の会議に近いプレッシャーでトレーニングを行うので「一度で聞き取る」という意識や集中力の変化があり、継続して取り組んでいくことでリスニング力を大きく伸ばすことができます。

シャドーイングの教材は、様々なトピックについての講演が聞けるTEDがおすすめです。

4.3 リプロダクションで、英語のまま記憶する力を身に付ける

リプロダクションは聞いた英文をそのまま自分の頭の中で再現し、発声するトレーニングです。すぐに口に出すシャドーイングとは異なり、一文が終わるまで発声せず、文章が終わってから聞こえた文章を発声します。

リプロダクションは記憶力(リテンション力)の向上に効果があります。リテンションは日本語で「保持する」ことを意味し、英語でいうと「聞き取った英語音声を短期的に記憶に留める力」を意味します。このリテンション力が高いと、一度聞いた英語を忘れづらくなります。

そのため、会議を聞いている時に、英語は聞き取れたけど直ぐに忘れてしまい「結局何の話だっけ?」となってしまう方におすすめです。

リプロダクションを実際に行ってみると、最初は思ったよりも英文が出てこないという感覚になると思いますが、継続していくことで英語を英語で記憶するスキルが向上し、英語の会議でもついていけるようになります。

4.4 速読で情報処理の速度を上げる

聞こえた英語を英語のまま理解できるようになると、情報処理の速度を上げることができます。
そこで効果的なのは速読です。

速読は、文字通り文章を速く読むトレーニングですが、下記の3点に注意して行います。
①英語を返り読みしない(後ろから前に返って読まない)
②一度読んだ英語は二度読まない
③内容もきちんと理解する

この3点に注意して速読を行っていくと、実際の会議でのリスニングに近い状況での情報処理の練習をしていくことができます。

速読はChat GPTを活用することで簡単に進めていくことができます。

添付のようなプロンプトを入れるとChat GPTがすぐに英文を作ってくれます。また、設問も作ってくれるので、内容理解をチェックすることもできます。

5.短期間でリスニング力を伸ばしたかったらOne Month Program

ここまで、英語の会議についていけない原因とその対策となるトレーニングについて解説してきました。

日々トレーニングと実践を繰り返していくことで少しずつリスニング力と情報処理力が培われていきますが、今すぐにでも英語力を伸ばしたいあるいはある程度英語でこなせているがさらにブラッシュアップしたいという方はOne Month Program(ワンマンスプログラム)という短期集中パーソナルプログラムがおすすめです。

One Month Programは通訳・翻訳・英語教育のエージェントであるテンナイン・コミュニケーションが同時通訳者として活躍中の木内裕也氏の監修のもと作成されたプログラムです。

通訳者が英語を習得するうえで必ず行う「シャドーイング」「英作文」、聞こえてきた英語をそのまま書きとる「ディクテーション」がプログラムの軸となっていますので、学習内容はお墨付きです。1か月間毎日欠かすことなく学習することで、確実に英語力を上げていきます。

5.1 日本人講師とネイティブ講師によるきめ細かなフィードバック

One Month Programにはトレーナーと呼ばれる日本人の英語講師がマンツーマンで英語学習をサポートしてくれます。シャドーイングや英作文の課題はネイティブ英語講師が添削した後、トレーナーが解説を日本語で加えてくれるので自分の間違いのポイントを深く理解することができます。

また、学習期間中は英語への質問だけでなく、学習の仕方や時間の捻出方法、あるいは翌日に迫ったプレゼンへのアドバイスや英語面接前の気を付ける点などあらゆる英語の困りごとに対してサポートしています。

5.2 コンテンツはすべてリアルなビジネスシチュエーションに合わせたオリジナル

テンナイン・コミュニケーションで提供する通訳や翻訳はすべてがビジネスに関連するものです。金融、IT、医療、メーカー、コンサルティングなど、これまで対応してきた職種は30以上。同時通訳者はそれら独自の英語や表現にとても精通しています。One Month Programではそれらの知見を活かして開発したオリジナルのビジネスコンテンツを使用するので、無駄な英語は一つもありません。学んだことは翌日から実践で使うことができます。

これらのオリジナルコンテンツを使用した「シャドーイング」「英作文」「ディクテーション」は1日ごとに内容が決まっています。そのため迷うことなく1日1日効率的に学習を進められます。

5.3 オンラインレッスンは欧米系講師とのビジネス現場を想定したロールプレイ

オンラインレッスンを担当するのはいずれもビジネス英語経験5年以上の欧米系のネイティブ英語講師です。一般的な言い回しや表現ではなく、ビジネスにふさわしい英語を学ぶことができます。ほとんどの講師が日本語も理解できるのでどうしても困った場合は日本語での質問もできます。

また、One Month Programの最上級コースMasterコースではグローバル会議や交渉の場を想定した講師2名によるロールプレイ形式のレッスンを行います。通常のマンツーマンとは違い、講師2名が話す早口の英語を聞き取りながら自分の意見を言うという他のプログラムにはないとても難易度の高い実践的なレッスンです。

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まとめ

ここまで、会議で英語が聞き取れない理由と、どうすれば会議で英語を聞き取れるようになるかについて解説してきました。まずは自己学習に取り組んでみることをお勧めしますが、難しい場合は、専門のサービスを利用するのも一つの手です。

また、時間がない方は、最初から英語学習サービスの各社に問い合わせてみるのも良いでしょう。One Month Programでは、海外出張や英語を使う環境で会議に参加しているビジネスパーソンに向けて、最短1か月完結の超短期集中プログラムを提供しています。

無料カウンセリングでは、レベルチェックを含め、ご自身の課題の洗い出しや効果的な学習方法についてアドバイスを行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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