「英語の会議になると話せない」
「会議で英語話者同士の議論が聞き取れない」
このようにお悩みなのではないでしょうか。
結論、
・なぜついていけないかの原因と必要なスキルを知る
・原因を克服するための勉強に取り組む
ことで英語の会議も億劫にならずに対応できるようになります。
そうは言っても
ある程度英語の勉強をしてきた人であれば
「自分が苦手なポイントは分かっている」
「英語は勉強しているけど実際の会議では上手くいかない」
なかなかイメージ通りにいかないこともあると思います。
そこで今回は
「ある程度英語の基礎力はあるけれども、実際の英語の会議についていけない」
という場面を想定し、その原因と克服法を同時通訳者の私が分かりやすく解説していきます。
目次
1. ずばり会議が英語になるとついていけない原因はこの2つ!
今回は
なぜ英語の会議についていけないのか
原因を大きく2つに分けて考えていきます。
原因1:聞き取れないからついていけない
原因2:上手く話せないからついていけない
それでは、それぞれの原因について深く掘り下げて考えていきましょう。
1.1 聞き取れないから会議についていけない
英語学習者であればこのような経験をしたことはないでしょうか?
「リスニング教材の英語は聞き取れるのに、実際の会話の英語が聞き取りづらい」
教材と実際の英語を比べてみると、大きな違いのひとつがスピードです。
リスニング教材の中には、実際のスピーチやニュース音源などを題材にして英語の「スピード」や「音の変化」に慣れることを目的としたものまであります。実際の英語話者は教科書通りには話さない、それくらいスピードの違いが明らかということです。
スピードが速いことが原因であれば、再生スピードを上げて速さに慣れたらいいのでは?と思われるかもしれませんが、ここで厄介なのは、スピードが速くなると「音の変化」が起こります。
そのため、単にスピードを上げて負荷をかけたからといってリスニングが強化されたとは言えないのです。
ひとつひとつの英語の音については時間をかけて学びますが、音がつながった時にどのように「音が変化するのか」を理解することがリスニングの強化には非常に大切です。また、「音のつながり」を意識することで、アウトプットの流暢さの向上にもつながります。
「音の変化」や「音のつながり」は、英語ではLinking sounds(音声変化)と説明されています。
以下のような例があります。ぜひ確認しておきましょう。
Blending (音が混ざる)
this morning(子音同士の場合) | ディス モーニン(g) →ディス(m)ォーニン(g) ※s の音がm の音に混ざる |
this apple (子音+母音の場合) | ディス アッポゥ→ディサァッポゥ ※ s の音がa の音に混ざる |
Overlapping sounds(音が重なる)
I did nothing wrong. | ディドゥ ナッスィング→ディ(d)ナッスィング ※d で口の奥に舌を置いたまま n の音を重ねる |
red light | レッド ライ(t)→レッ(d)ライ(t) ※d で口の奥に舌を置いて l の音で舌を離す |
Changing sounds(全く違う音になる)
meet you | ミートゥ ユゥ→ミーチュウ ※ d かt が yの前にくると音が変わる |
Adding sounds(音が追加される)
She asked. | スィ アスク(t) →スィーァスク(t) ※ eと aの間にyの音があるイメージ |
Double sounds(音が重複する)
spring garden | スプリング ガーデン→スプリンガーデン ※重複して音が消える |
1.2 上手く話せないからついていけない
英語の会議についていけない理由を今度はアウトプットの観点から探ってみましょう。
「会議の内容は大体理解できるのだけど、自分の意見を英語でまとめられない」
「英語で発言できずに議論に置いて行かれる」
このような悩みがある方も多いかと思います。
では、もしあなたが英語ネイティブだったとしたら、上手く会議の議論についていけるのでしょうか?
そもそも主張がまとまっていないと何を話しているのか分からない印象を相手に与えてしまうはずです。
英語のアウトプットを磨くことはもちろん大切ですが、同じくらい大切なことは、「要点を明確に伝えること」です。また、相手の発言の「要点を正確に捉えること」も反論などで相手の意見を受けて発言する場合に重要になります。
発言する際には常に発言がロジカル(論理的)かどうかを念頭に置いておきましょう。
例えば、AとBの英文のどちらが伝わりやすいと思いますか?
A) I studied all night. I was tired in the morning. I had an important meeting.
B) I studied all night, so I was tired in the morning; however, I had an important meeting to attend.
A) She planned a vacation. She didn’t book the tickets. The prices increased.
B) She planned a vacation but didn’t book the tickets in time, so the prices increased.
A) They started a new project. They didn’t set clear goals. The project failed.
B) They started a new project without setting clear goals; consequently, the project failed.
正解は、全てBの方が伝わりやすい英文です。
なぜBがAよりも伝わりやすいかと言うと、Bの方がロジカルだからです。
Bの文章では、Linking words (つなぎ言葉)と呼ばれる「文章と文章とをつなげるための単語や表現」が使われています。みなさんがよく知っている and や but などの接続詞もこのLinking words に含まれます。
一つ目の英文をさらに詳しく見てみましょう。
A) I studied all night. I was tired in the morning. I had an important meeting.
(徹夜で勉強しました。朝疲れていました。重要なミーティングがありました。)
Linking wordsがない状態では、それぞれの文章に関係があるのか、同じ日の出来事について述べているのか、よく分かりません。
B) I studied all night, so I was tired in the morning; however, I had an important meeting to attend.
(徹夜で勉強したので、朝疲れていましたが、出席しなければならない重要なミーティングがありました。)
Linking words(so/however)が追加されたことで、朝疲れていた理由が徹夜で勉強していたこと、また、疲れているけれども出席しなければないミーティングがあったこと、というように対照的な意味のつながりがあったことが明確になりました。
また、ロジカルで相手に意図が伝わる発言をするためには、「自分の主張→その根拠→結論や今後の提案」の順に、主張の要点を明確にすることが大切です。これにはライティングスキルの強化が役立ちます。
ロジカルに伝えるにはLinking wordsが大切であることを述べましたが、その土台には、話の構成(ストーリー)がしっかりとロジカルに組み立てられていることが前提となります。
2. 英語を聞き取れるようになるために必要な2つのスキル
会議で飛び交う英語を聞き取るために必要なスキルは
① 自然な会話のスピードに慣れる
② Linking sounds(音声変化)の理解を深める
の2つです。
この2つのスキルを鍛えるために取り組むべきトレーニングは、シャドーイングとディクテーションです。
どのように取り組めばよいか解説していきます。
2.1 シャドーイングで自然な会話のスピードに慣れる
自然な会話のスピードに慣れるには、シャドーイングが最適です。
ネイティブの自然な速さの英語の後について、同じ発音、スピード、リズム、強弱、トーンまで意識しながら声に出して真似てみましょう。
ここで注意が必要なのは、単に聞いた音を声に出して「スピードについていくだけで満足」してしまってはシャドーイングをする効果が薄れてしまうことです。客観的に自分のデリバリー(音声)を後で確認するためには、シャドーイングの音声を録音して確認することが何よりも大切です。スピードについていこうとするあまり、イントネーションが正しくなかったり、強弱がなく棒読みになっていることに気付けるはずです。
シャドーイングは同時通訳の訓練でも重要で、通訳者はスピードが速いと予想される会議の前に耳と口を速さに慣らす方法としてウォーミングアップに取り入れています。さらに負荷をかけたトレーニングをしたい場合は、音源の後をすぐに追いかけるのではなく、1~2センテンス待ってからシャドーイングをする方法もあります。リテンション(聞いたことを記憶する力)を同時に鍛えることができるので、スピードが速くなっても聞いた情報を覚えておくことができるようになります。
2.2 ディクテーションで音声変化の理解を深める
Linking sounds(音声変化)の理解を深めるには、ディクテーションが最適です。
聞いた英語を全て書き起こすことで、自分はどの音が聞こえていないのか、また、聞き取れない原因となる音の変化はどこにあるのかを確認することができます。自分がどれだけ聞き取れているかを確認するためにも、ディクテーションをしたことがない方はぜひ一度試してみてください。
方法はとても簡単です。ネイティブがナチュラルに話すスピードの音源を選んで、音源を聞きながら聞いた英語を全て書き起こしてみましょう。一度で聞き取れない箇所は繰り返し聞いてみましょう。パソコンに入力する方がスピードについていきやすい場合はそのようにしても構いません。後で答え合わせができるようにスクリプト付のインタビューやスピーチなどをネットで探すのがおすすめです。
ディクテーションで大切なことは、復習に力を入れることです。自分が聞いた音と音源の音にギャップはなかったか、もし書き起こせない単語があった場合は原因が何かの分析をしていきます。音の変化を捉えきれずに速さについていくことができなかったか、その単語の発音を知らなかったのか…など詳しく分析してみてください。音源のスピードを調整できる場合は、まずはスピードを落としてから徐々に速くすることも効果的です。これにより、自分がどのスピードになると音声変化についていけなくなるのか感覚として分かるようになります。弱点を自覚しながら何度もディクテーションを続けることで、自分が聞き取れない音のパターンがみつかるはずです。
3. 上手く話せるようになるために必要な3つのスキル
会議で上手く話せるようにために必要なスキルは
① ロジカルに伝える(Linking wordsの活用)
② 主張の要点を明確に伝える
③ 相手の発言の要点をつかむ
の3つです。
この3つのスキルを鍛えるために取り組みたいトレーニングを解説します。
3.1 ロジカルに伝えるために語彙力を強化する
ロジカルに伝えるためには、1章でご紹介したLinking words(つなぎ言葉)を含めた語彙力の強化が大切です。以下に主なLinking words をご紹介しますので、ぜひ確認しておきましょう。
接続詞
for | 理由を結果に結びつける |
and | 同等で似たアイデアを結びつける |
nor | 2つの否定的なアイデアを結びつける |
but | 同等だが異なるアイデアを結びつける |
or | 2つの同等な選択肢を結びつける |
yet | 同等で対照的なアイデアを結びつける |
so | 結果を理由に結びつける |
フレーズ
追加のコメントやアイデア | additionally; also; moreover; furthermore; again; further; then; besides; too; similarly; correspondingly; indeed; regarding |
代替案 | whereas; in comparison; by contrast; alternatively; although; otherwise; instead |
結果の分析 | therefore; accordingly; as a result of; the result is/results are; the consequence is; resulting from; consequently; because of this; thus; hence; for this reason; owing to x; this suggests that; it follows that; otherwise; in that case |
原因 / 理由 | as a result of; because |
比較 | compared with; in the same way; likewise |
対照 | by contrast; although; compared with; conversely; despite; however, nevertheless; yet |
効果 / 結果 | As a result; therefore; thus |
前の内容を強調 | however; nonetheless; furthermore; despite x; in spite of x; although; though; after all; at the same time |
例を紹介 | for example; for instance; namely; such as; as follows; such as; including; especially; particularly; in particular; mainly |
言い換え | in other terms; rather; or; better; in contrast |
順序 | first (ly); second (ly); third (ly); another; additionally; finally; moreover; also; subsequently; eventually; next; then |
要約 / 結論 | in conclusion; therefore; to conclude; on the whole; hence; altogether; overall; …following the research of…after analysis |
3.2 ライティングを通して主張の要点を明確に伝える
主張の要点を明確に伝えるためにはライティングの機会を増やすことも効果的です。
英語でエッセイを書く時のように、構成ルールに則って自分の言いたい内容をまとめておくことができるようになると、発言の要点が自然と相手に伝わりやすくなります。
エッセイの基本的な構成は以下の通りです。
① Introduction(導入):テーマについての背景を述べた上で自分の主張を提示する
② Body(議論):各パラグラフの最初にトピックセンテンスと言われる主張の根拠を簡潔にまとめる
→その理由を議論を含めながら述べた上で結論を述べる
③ Conclusion(結論): 全体の主張をまとめた上で今後の提案や希望を述べる
この構成ルールを実際の会議の発言に落とし込んでみましょう。
最初から英語で発言できるのが理想ですが、そうするとうまく議論についていけなくなる場合は、まずは日本語または英語でエッセイを書くようにメモをまとめ、伝えたいポイントが明確であるかを確認してみましょう。そしてそれもとに会議で発言することをおすすめします。
3.3 サマライジングで相手の発言の要点をつかむ
相手の発言の要点がどこにあるのかを聞いて理解するトレーニングもアウトプットにつながる効果的な方法です。そのためには、聞いた内容を要約してみましょう。
音源はTEDでもニュースのコメンテーターの発言でも構いません。まず、いったい話者が何を主張しているのか、その根拠は何なのかに意識を向けながら音源を聞きます。聞き終えたら聞いた内容を自分の言葉で要約してみましょう。その際に、Linking words(つなぎ言葉)を意識的に使うとさらにアウトプットの向上につながります。
常に要点をとらえる聞き方(傾聴)をすることで、自分が意見を伝える時にも頭の中の考えを整理することができるようになるので、発言が明確に伝わりやすくなります。
4. 会議についていける英語力を効率的に身に付けたかったらOne Month Program
ここまで、英語の会議になぜついていけないかの原因と必要なスキル、そして克服法について解説してきました。上記のトレーニングを継続的に取り組んでいけば、着々とスキルは上がっていきますが、実際に取り組んでみると教材選びが手間だったり、正しく行えているか不安になるときがあります。
特に仕事ですぐにでも活かしたいという状況であれば、なるべく効率よくスキルを伸ばしていきたいですよね。そんな時はOne Month Programの無料カウンセリングにてご相談ください。
4.1 英語のプロ同時通訳者が監修している
One Month Programは通訳・翻訳・英語教育のエージェントであるテンナイン・コミュニケーションが同時通訳者として活躍中の木内裕也氏の監修のもと作成されたプログラムです。
通訳者が英語を習得するうえで必ず行う「シャドーイング」「英作文」、聞こえてきた英語をそのまま書きとる「ディクテーション」がプログラムの軸となっていますので、学習内容はお墨付きです。1か月間毎日欠かすことなく学習することで、確実に英語力を上げていきます。
4.2 日本人講師とネイティブ講師によるきめ細かなフィードバック
One Month Programにはトレーナーと呼ばれる日本人の英語講師がマンツーマンで英語学習をサポートしてくれます。シャドーイングや英作文の課題はネイティブ英語講師が添削した後、トレーナーが解説を日本語で加えてくれるので自分の間違いのポイントを深く理解することができます。
また、学習期間中は英語への質問だけでなく、学習の仕方や時間の捻出方法、あるいは翌日に迫ったプレゼンへのアドバイスや英語面接前の気を付ける点などあらゆる英語の困りごとに対してサポートしています。
4.3 コンテンツはすべてリアルなビジネスシチュエーションに合わせたオリジナル
テンナイン・コミュニケーションで提供する通訳や翻訳はすべてがビジネスに関連するものです。金融、IT、医療、メーカー、コンサルティングなど、これまで対応してきた職種は30以上。同時通訳者はそれら独自の英語や表現にとても精通しています。One Month Programではそれらの知見を活かして開発したオリジナルのビジネスコンテンツを使用するので、無駄な英語は一つもありません。学んだことは翌日から実践で使うことができます。
これらのオリジナルコンテンツを使用した「シャドーイング」「英作文」「ディクテーション」は1日ごとに内容が決まっています。そのため迷うことなく1日1日効率的に学習を進められます。
4.4 オンラインレッスンは欧米系講師とのビジネス現場を想定したロールプレイ
オンラインレッスンを担当するのはいずれもビジネス英語経験5年以上の欧米系のネイティブ英語講師です。一般的な言い回しや表現ではなく、ビジネスにふさわしい英語を学ぶことができます。ほとんどの講師が日本語も理解できるのでどうしても困った場合は日本語での質問もできます。
また、One Month Programの最上級コースMasterコースではグローバル会議や交渉の場を想定した講師2名によるロールプレイ形式のレッスンを行います。通常のマンツーマンとは違い、講師2名が話す早口の英語を聞き取りながら自分の意見を言うという他のプログラムにはないとても難易度の高い実践的なレッスンです。
まとめ
本記事では、英語でついていけない原因とその克服法について解説しました。
試したことがない方法があればぜひ取り組んでみてください。
英語の会議に少しでも自信をもてるようになるために活用していただけるとうれしいです。
Writer
One Month Program
グローバルで活躍できる人材のための英語情報を発信します。
ビジネスに特化した1か月の超短期集中英語プログラム
https://www.ten-nine.co.jp/onemonthprogram/
運営会社:【通訳・翻訳・英語教育】テンナイン・コミュニケーション
https://www.ten-nine.co.jp/