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会議で頻出するビジネス英語50選を同時通訳者が解説

2023.10.25

update 2024.06.20

会議で頻出するビジネス英語50選を ≪初級・中級・上級≫のレベル別に解説します。

「会議でどんなビジネス英語を使えば良いのか分からない。」
「ビジネス英語のこなれた言い回しが知りたい。」
そんなお悩みを抱えていませんか?
年間200件以上のビジネス会議をこなしてきた同時通訳者が、実際に聞いた用語を中心にご紹介します!

この記事の内容をまとめた資料は下記よりダウンロードすることもできます。

1. 会議でおさえておきたいビジネス英語 ~初級25選~

英語の会議で日常的に使われている用語です。実際に使えるように例文を参考にしながら理解を深めておきましょう。

1.1 Action Items

個人やチームが実行し、完了する必要のある業務やタスクのこと。
端的に言うと、To-do list(やることリスト)のようなものを指しますが、To-do listは自分がやるべきことだけを管理する一方で、action itemsとは自分を含めたチームメンバー全員のタスクの管理を意味します。通常は日本語でも「アクションアイテム」と呼ばれます。英語ではactionable itemsと言う場合もありますが同じ意味になります。プロジェクトを遂行する場合にはアクションアイテムの一覧を作成し、それをもとに進捗管理を行うため、会議で必須の用語です。

(例)
During our team meeting, we discussed the project’s progress and identified several actionable items to address the client’s concerns.
チームミーティングでは、プロジェクトの進捗について話し合い、クライアントの懸念に対処するためのアクションアイテムをいくつか特定しました。

1.2 ASAP

As Soon as Possibleの頭字語。何かを早急に行う必要があることを意味します。
主にメールで使われることが多く、“Let me know asap.”のように使われます。フォーマルな表現としては、”Please respond at your earliest convenience.”などがあります。口頭では、略さずにそのまま発音するか、「エー・エス・エー・ピー」「アサップ/エイサップ」と発音します。

似た意味でよく使われる表現を他にもご紹介します。
urgently、promptly、with utmost priority、in a timely manner、expeditiously、immediately、without further delay、quickly、at your earliest convenience
合わせて覚えておきましょう。

(例)
We are currently experiencing a critical system failure. IT team is working to restore services ASAP. and we’ll keep you updated on the progress.
現在、重大なシステム障害が発生しています。ITチームが早急にサービスの復旧に取り組んでいますので、進捗については随時ご連絡します。

1.3 Best Practice

プロジェクトやタスクを遂行する際の最も有益で優れている手法、プロセス、活動のこと。
辞書では、最良慣行などと訳されることもあるようですが、実際の会議では「成功事例」や日本語でも「ベストプラクティス」とそのまま使われることが多いです。例えば、A社の手法が業界で最も優れている場合、A社のベストプラクティスを基準に自社を比較して議論が行われます。また、何かを基準に比較することをbenchmarkと言います。Best practiceと並んで頻出の用語ですので覚えておきましょう。

(例)
We should benchmark our performance against industry best practices to identify areas for improvement.
業界のベストプラクティスに照らして自分たちの業績(パフォーマンス)をベンチマークし、改善分野を特定すべきです。

1.4 Brainstorming

グループディスカッションやミーティングで、会社が抱えている問題や課題などについて新しいアイデアや解決策を生み出そうとすること。
thought showerやidea showerと呼ばれることもあります。日本語では会議の方式を指して「集団発想法」などと訳されることもあるようですが、実際の会議ではそのまま使われることが多く「ブレスト」と略されることも多いです。名詞でa brainstorming meeting/ sessionと使われることが大半ですが、動詞では、”brainstorm new strategies”のように「~の意見を出し合う、引き出す」と訳すことができます。

(例)
Let’s schedule a brainstorming meeting to tackle the challenges we’re facing with our current project and come up with viable solutions.
ブレインストーミングのミーティングを予定して、現在のプロジェクトで直面している課題に取り組み、実行可能な解決策を考え出しましょう。

1.5 Bring to the Table

プロジェクト、タスク、あるいは組織に対して個人が提供できるスキル、専門知識、アイデアや経験のこと。
元々は、人事関連の場面で使われるフレーズですが、日常的にもよく使われます。人事の場合は、どのようなスキルや経験で会社に貢献できるかを質問する際によく使われます。

(例1)
What does Erick bring to the table for this project? 
エリックはこのプロジェクトにどのように貢献できますか?
(例2)
Before making a final decision, we should review what each vendor can bring to the table in terms of pricing, quality, and service.
最終決定をする前に、価格、品質、サービスにおいて各ベンダーがどのように貢献できるかを
検討する必要があります。

1.6 Cascade

知っておくべき情報などを同僚や部下に伝達すること。
Cascadeは、階段状に連なる小さな滝を意味する単語で、ビジネスでは戦略などを上司から部下へと、まるで滝が流れ落ちるように伝達するイメージで使われます。“Cascade down”の形で使われることが多いです。単に伝えるだけではないことを明確にするため、浸透させる、落とし込むと訳すこともあります。

(例)
The CEO will cascade the company’s new vision and strategic goals down to all departments during
the upcoming town hall meeting.
次回のタウンホールミーティングで、取締役が会社の新しいビジョンと戦略目標を全部門に落とし込む予定です。

1.7 Deck

ビジネス用語で、パワーポイントなどのプレゼンテーション資料のこと。
スタートアップの業界では、投資家向けに“investor pitch deck”と呼ばれる短く端的なプレゼン資料を意味して使われています。一般的には、presentation materialやslidesなどと呼ばれることも多いのですが、中にはdeckを好んで使う人もいるので覚えておきましょう。

(例)
Can you send me the project status deck before the team meeting?
チームミーティングの前にプロジェクトの進捗報告の資料を送っていただけますか?

1.8 Deep Dive

“deep diving into ~”で与えられたトピックについて徹底的に調査や分析をすること。
直訳すると「深く潜水する」の意味になりますが、ビジネスでは何かを深く掘り下げると言いたい場合によく使われます。似た表現には、drill downがあります。(1.10 ”Drill down”参照

(例)
Let’s set up a meeting with the engineering team to do a deep dive into the technical specifications of the new product.
新製品の技術仕様について徹底的に調査するために、エンジニアリングチームとの会議を設定しましょう。

1.9 Deliverables

「提出物」を意味する単語ですが、ビジネスでは「成果物」と訳されます。
任せられたタスクや責任をもつ業務のことを意味します。例えば、”providing an update on your deliverables”は、任されたタスクの進捗状況について報告するということです。プロジェクトの終わりまでに完了しなければならないタスクを指す場合が多く、進捗会議では必ずと言って良いほど登場します。通常はdeliverablesと複数形になるので注意しましょう。

(例)
We need to prioritize our tasks to ensure that all critical deliverables for the client’s project are completed by the end of the month.
クライアントのプロジェクトの重要な成果物が全て月末までに完了するよう、タスクに優先順位をつける必要があります。

1.10 Drill Down

”Drill down into something”で、深く物事を掘り下げて分析すること。
“Deep dive”と同様の意味です。ビジネスでは、アイデアや報告書などを徹底的に調査する意味で使われます。特に、会社にとって有益で重要な事柄を詳しく洗い出すような場面で好まれる印象です。他には、”unpack that”や”peel the onion”などと表現されることもあるので面白いですね。

(例)
The executive team wants to drill down into the quarterly performance metrics to assess the effectiveness of our strategic initiatives.
経営陣は、戦略的な取り組みの効果を評価するため、四半期毎のパフォーマンス指標を詳細に調査したいと考えています。

1.11 Hard Stop

会議や議論を終了しなければならない時間のこと。
その直後に別の会議や用事がある場合にこの表現をよく耳にします。会議が連続して設定されているオンラインの会議で特によく使われる印象です。ビジネス以外でも、”I had to make a hard stop on the highway.”のように急ブレーキをかけるという意味で使われます。

(例)
We have a hard stop for this meeting at 11:00 today, so we can get to our next meeting on time.
本日のミーティングは11時終了の時間厳守で、次のミーティングに間に合うようにしましょう。

1.12 Headwinds

ビジネスの成長を鈍化させる課題や制約などのこと。
直訳すると、「向かい風」や「逆風」を意味し、不利な状況や厳しい状況を表します。例えば、売上が厳しい場合には、”facing sales headwinds”というように使います。また、好ましくない風という意味で、”unfavorable wind”と言うこともできます。反対に、有利な状況の場合は”tailwind”「追い風」です。合わせて使えると良いですね。

(例)
We need to develop contingency plans to address the headwinds of regulatory changes that may affect our business operations.
事業運営に影響を及ぼすかもしれない規制の変更の課題に対処するためのコンティンジェンシープランを策定する必要があります。

1.13 In the Loop

特定の分野についての重要な情報や知識を伝達されること。
直訳すると、「輪の中に入る」という意味ですが、「やりとりの中に入る」という意味です。ビジネスではメールなどでもよく使われる表現です。例えば、誰かをメールの宛先やCCに入れてほしい場合には、”Please add 人 in the loop.”などと言うことができます。非常によく使われる表現ですので、ぜひ覚えておきましょう。

(例)
I told Steven about our sales strategy, so he’s in the loop.
スティーブンに私たちの販売戦略について話をしたので、彼はやりとりに加わっています。

1.14 Let’s Take this Offline

「オフラインで話しましょう。」=別の場で特定の人物だけで議論しようと提案すること。
例えば、大人数の会議で議題から話が脱線するなどして、議論がなかなか前に進まない時にこのフレーズが好んで使われます。最近では電話会議で良く使われる印象です。ちなみに、電話会議に参加している状態が”online”なので、その”offline”(接続がない状態)と考えるとイメージがわきやすいですね。

(例)
Let’s take this offline and schedule a follow-up meeting to dive deeper into the project’s technical aspects and potential challenges.
この件はオフラインで話しましょう。プロジェクトの技術面と潜在的な課題をさらに深堀するため、フォローアップミーティングを設定しましょう。

1.15 Leverage

リソースなどを最大限に活用すること。
”leverage”の定義は、望ましい反応を得るために何かに力をかけることです。ビジネスではそこから派生して、何かを最大限に利用して結果を得るという意味で使われます。文脈によっては、「利用する」という意味合いから直接的な表現に捉えられることもあるため、その場合は、”finding synergy”「シナジーを見つける」など婉曲的な表現を使うこともあります。(1.21 ”synergy”参照)ちなみに、”leverage”は動詞と名詞の両方でよく使われます。

(例1)
The key to our success has been our ability to use competitive pricing as a significant leverage against our competitors.
我々の成功の鍵は、競合他社に対して、競争力のある価格設定を重要な有利性として活用できる
ことです。
(例2)
We can leverage our existing client relationships to expand our market share in the region.
既存のクライアントとの関係を最大限に活用して、この地域での市場シェアの拡大が可能です。

1.16 One-Pager

“Providing a one-pager”で、報告書や計画などの要点を1ページにまとめること。または、そのまとめた1ページの資料のことを意味します。
1ページだから”one page”で良いのでは?と思われそうですが、接尾辞-erには、「~する道具」の意味もあるため、そこから1ページにまとめたものを指すことができます。

(例)
Before the client meeting, please provide me with a one-pager that outlines the project’s progress and major milestones.  
クライアントとのミーティングの前に、プロジェクトの進捗と主要なマイルストーンの要点をまとめた資料を用意してください。

1.17 One-on-one

二者間で定期的に設定されるミーティングや、近況確認のために設けられた場のこと。
通常は上司と部下の間で行われる話し合いの場や面談を意味します。日本語でも「ワン・オン・ワン」と呼ばれ、ビジネス以外でも広く使われている馴染みのある表現です。

(例)
The performance review will include a one-on-one session between each employee and their supervisor to provide feedback and set objectives.     
業績評価には、社員とその上司ごとの、フィードバックと目標設定のための面談が含まれます。

1.18 Pain Point

重大な影響を及ぼす問題や課題のこと。
直訳すると、「痛みを感じる場所」になり、すぐにでも痛みを取り除きたくなりますよね。ビジネスでは、解決までに時間がかかっていてなんとかして対処したい問題に使われます。

(例)
One of the key pain points in our supply chain management is the lack of real-time visibility into inventory levels.              
当社のサプライチェーン管理における主要な課題の一つは、在庫レベルがリアルタイムに把握できないことです。

1.19 Reach Out

ビジネスでは、“Reach out to 人(企業)”で、個人や企業と連絡をとること。
本来は、何かを取ろうとして手を伸ばす、救いの手を差し伸べるという意味があります。ちなみに、メールの文面でもよく使われる便利な表現です。例えば、”I’m reaching out to you because~”「~の件でご連絡させていただきました。」とメールの目的を簡潔に伝えることができますね。

(例)
Let’s reach out to Mike and see if he’s available for lunch.  
マイクに連絡して、ランチに参加できるかどうか確認しましょう。

1.20 Stand-up

一日の予定やその日の目標などを簡潔に話し合うために毎日行われるミーティングのこと。            “stand up”は、立ち上がる動作を表したり、”stand up for”で、何か行動を起こすという意味がありますが、”stand-up” や “stand-up meeting”と使うことで、朝の業務前にメンバーが集まって簡単に今日の作業内容について共有する場のようなイメージです。  

(例)
During the stand-up, each team member will provide a brief update on their current workload and any challenges they are facing.
スタンドアップミーティングでは、各チームのメンバーが現在の作業量と直面している課題について、簡単なアップデートを行います。

1.21 Synergy

他部署やチーム間での協業や、チームワークが功を奏して良い結果が出ること。
何かを単独で行うよりも、協働することでさらに大きな利益を得ることを意味します。日本語では「相乗効果」と訳されますが、「シナジー」とそのまま呼ぶことも多いです。また、”synergize”と動詞で使われることもあります。例えば、”We’re looking for ways to synergize the marketing and sales teams.”とあれば、何か新しいプロジェクトを始めたいわけではなく、マーケティングとセールスチームがさらに生産的に協働するにはどうすれば良いかを模索しているという意味になります。

(例)
Our cross-functional teams collaborate closely to achieve synergy and drive innovation in product development.
私たちのクロスファンクショナルチームは、シナジーを実現し、製品開発のイノベーションを推進するために密に連携しています。

1.22 Streamline

何かを変えることで効果と生産性をより高めること。
日本語では「合理化」、「簡素化」、「効率化」など、無駄をなくして改善することを意味します。本来の意味は、”stream”(流れ)”line”(線)で滑らかに流れる線になります。業務が滞りなく滑らかに行われることがイメージできますね。

(例)
By eliminating redundant tasks and automating repetitive processes, we can streamline our workflow and improve employee productivity.
重複するタスクをなくし、定型業務を自動化することで、ワークフローを合理化し、従業員の生産性を高めることができます。

1.23 Top-down

経営陣が会社全体の意思決定をし、決定事項を社員に落とし込む経営手法のこと。
日本語でも、「トップダウン」とそのまま使われています。ただし、英語の”top down”には「上から下へ」以外にも、「上から下まですべて」という意味もあるため、文脈によっては使い方に気をつけましょう。例えば、”top-down approach”となっていれば「トップダウン方式」を意味します。また、部下などの意見を吸い上げてトップが意思決定を行うことを反対に「ボトムアップ」と言います。

(例)
The board of directors provided a top-down directive to reduce operational costs by 10% in the upcoming fiscal year.
取締役会は、次年度に事業費を10%削減するためのトップダウンの指示を出しました。

1.24 Touch Base

“Touching base with someone”で、誰かに連絡をして話をしたり議論したりすること。
つまり、”touch base”をしたいと言われたら、ミーティングを設定して特定のタスクやプロジェクトについてアップデートや議論をしたいという意味になります。通常は手短に行われるミーティングを指すことが多いです。

(例)
I’m still unclear about some details from the last meeting. Are you free on Tuesday so we can touch base?
前回のミーティングの中で、詳細についてまだはっきりと理解できていないことがあります。話をさせていただきたいのですが、火曜日は空いていますか?

1.25 Win-win Situation

全ての当事者(または双方)にとって利益となる状況のこと。
ビジネス以外でも使われる用語で、日本語でも「ウィン・ウィン」と呼ばれていますね。英語の ”I win, You win.”の略で、同じ意味では、”fifty-fifty”や “give and take”があります。

(例)
Collaborating with a competitor on research and development can lead to a win-win situation, where both companies gain access to valuable insights and innovations.
競合他社との共同研究開発には、お互いが貴重なインサイトとイノベーションを利用できる、ウィンウィンの状況につながる可能性があります。

2. 会議で使えると便利なビジネス英語 ~中級15選~

英語の会議で使えると便利な用語です。簡潔に伝わる、洗練された表現を使いこなせるようにしましょう。

2.1 Bandwidth

ビジネスでは、新しい仕事に取り組むことができる余裕のこと。
つまり、あなたが追加の作業をする上で、時間、キャパシティ(許容量)、リソース(人的資源)があるかどうかということを表します。直訳すると、「バンド幅」や「帯域幅」というように周波数の範囲の幅を意味します。

(例)
Our team has limited bandwidth at the moment due to multiple ongoing projects, so we’ll need to prioritize this new initiative carefully.
私たちのチームは、進行中のプロジェクトが複数あり、現在リソースに限りがある状態なので、この新しい取り組みに慎重に優先順位をつける必要があります。

2.2 Break Down the Silos

チームや部署間の壁を取り払い、連携して業務を行うことで効率を高めること。
“silo”とは、家畜飼料や穀物などの貯蔵庫の意味から派生して、窓がない貯蔵庫のような場所で働くかのように、他との連携を取らずに仕事をすることを意味します。”break down”が壁を壊すという意味なので、ここではその反対に周囲と協業するという意味になります。また、自己中心的な仕事のやり方という時にも使うことができます。“silo”は「縦割り」の英訳としてビジネスでよく使われ、多くの部門が別々に対応する働き方は“silo approach”(縦割り型手法)と呼ばれます。

(例)
We’re working on a project to break down the silos between our regional offices, allowing for a more coordinated approach to international expansion.
当社は、支社間の壁を取り払い、海外展開のためのより協調的な取り組み方を可能にしようとするプロジェクトに取り組んでいます。

2.3 Buy-in

利害関係者などを説得し、新しい事業計画や事業方針などについて了承や同意、支持を得ること。
直訳すると、何かを仕入れる、株を買うという意味になりますが、ビジネスでは「賛同」を得るという場面で使われます。「~を得る」の動詞には、例文の”secure”の他に、”obtain” 、 ”seek”、“gain” などがあります。

(例)
To implement this new strategy successfully, we need to secure buy-in from key stakeholders across the organization.
この新戦略を成功裏に実施するためには、組織全体の主要ステークホルダーからの賛同を得る必要があります。

2.4 Core competencyCore competence

組織または個人のスキル、知識、能力を含めた強みや専門分野のこと。
ビジネスでは、1990年代から使われ始めた概念で、世界的に多くの企業にとって価値があると捉えられています。企業が競合他社と差別化するための製品、リソース、技術など全般についての「核となる能力」を意味します。日本語では、「コア・コンピテンシー」と呼ばれます。ちなみに、正確には、「コア・コンピテンシー」が個人を対象にしたものに対し、「コア・コンピタンス」は組織を対象にしたものです。

(例)
Identifying and leveraging our core competencies is vital for maintaining a competitive edge in the market.
コアコンピテンシーを特定し、活用することは、市場で競争優位性を維持するために不可欠です。

2.5 Double-click

ビジネスでは、「何かを深堀りする」、「深く検討する」こと。
同じ意味で、explore、discuss further、deep diveも使われます。(1.8 ”Deep Dive”参照)マウスをダブルクリックする以外に、また別の意味があると知っているだけでも役立ちますね。

(例)
In the next presentation, we’ll double click on the key performance indicators and assess our progress against our strategic goals.
次回のプレゼンテーションでは、主要KPIを深く検討し、戦略的目標に対する進捗を評価したいと思います。

2.6 Empower

“Empower 人”で、「人に~できるようにする」、「人に権限を与える」こと。
ビジネスでは、上司や役員など上の役職者が中間職やさらに下のポジションの社員に対して、重要な責任や仕事を与える場合によく使う表現です。

(例)
Our leadership team is committed to empowering employees to take ownership of their projects and contribute to the company’s success.
当社のリーダーシップチームは、社員がプロジェクトを主体的に担当し、会社の成功に貢献できるよう権限を与えることに尽力しています。

2.7 Game Changer

会社やプロジェクトなどの現状に大きな影響を与えるような新しいもの。
通常は、新たに導入されるアイデアやプロセスなど革新的なものやこと、あるいは、それらをもたらす人を指します。ビジネス以外でも使われている言葉で、もともとは文字通り、野球などのスポーツの試合(game)で流れを一気に変える活躍をする選手(changer)を意味します。ビジネスでは、例えば、「この商品の新しい機能がゲームチェンジャーだ。」という発言があれば、用語を覚えておくことで、具体的にその機能のどこが革新的なのかははっきり分からなくても、市場に大変革を起こすような影響力をもつ機能なのだと理解することができます。

(例)
The introduction of our new product line has been a game changer in the industry, setting a new standard for innovation and quality.
私たちの新しい製品ラインは、業界においてゲームチェンジャーとなり、イノベーションと品質の新たな基準を定めました。

2.8 Giving 110%

“Give a hundred and ten percent”(または、give a hundred percent)で「全力投球する」こと。
仕事や目標に対して上司から”give 110%”と言われた場合は、できる限りのことをしてその要求に応えてもらいたいという気持ちが表れています。他の表現では、”go the extra mile”があります。

(例)
Our team is dedicated to the project, and they’re ready to give a hundred and ten percent to meet the tight deadline.
私たちのチームはプロジェクトに専念しており、厳しい納期に間に合わせるためにできる限りの努力をする覚悟です。

2.9 Good to Go

タスク、プロジェクト、アクションアイテムが順調に進捗していて次に進む準備が整っていること。
少しカジュアルな表現ではありますが、ビジネスの現場で非常によく耳にする表現の一つです。ビジネス以外でも、例えば何かの手続きをしている時に担当者から、”You’re good to go.”と言われた場合は、もう手続きは終わったので行ってもいいですよという意味になります。

(例)
The project is complete, and all the necessary approvals are in place, so we’re good to go for the product launch.
プロジェクトが完了し、必要な承認を全て得ているので、製品を発売する準備が整っています。

2.10 No-brainer

ほとんど考える必要がないくらい頭を悩ます必要のないこと。明らかなこと。
直訳すると、脳みそが要らないになってしまいますが、意味するのはそれくらいに簡単なことだということです。Piece of cake「朝飯前」と似た表現です。カジュアルなフレーズではありますが、”It’s a no-brainer.”「それは明白だ。」のような形でビジネスでも耳にします。

(例)
Expanding into this new market is a no-brainer considering the strong demand and low competition.
この新市場への拡大は、強い需要と競争相手が少ないことを考えれば当然のことです。

2.11 Paradigm Shift

ビジネスのアイデアやブランドについてのアプローチや見方が変わること。
パラダイムとは、模範や枠組みを意味することから、当たり前だった思想や価値観、常識などがシフトする(転換する)ことを意味するようになりました。もともとは科学の分野で生まれた概念が広く解釈され、ビジネスでは変化の現象を指して用いられることもあります。例えば、その時代を変えるような革新的なアイデア(パラダイムシフト)には、スマホなどの情報技術の発達やキャッシュレスシステムの普及などがあげられます。動詞と名詞の両方で使われます。

(例1)
The introduction of digital technology caused a paradigm shift in our industry, forcing us to adapt to new business models.
デジタルテクノロジーの導入は、我々の業界にパラダイムシフトをもたらし、新たなビジネスモデルに適応する必要が生じました。
(例2)
In today’s rapidly changing business landscape, shifting the paradigm is more important than ever.
現在の急速に変化するビジネス環境において、パラダイムの転換は今まで以上に重要です。

2.12 Park it

プロジェクトやアイデアの方向性が決まり承認されるまでいったん保留にすること。
直訳すると、駐車するという意味になりますが、ビジネスでは「保留・ペンディング」や「棚上げ状態になる」ことを表します。似た表現には、”sleep on it”「一晩寝かせて考える」があります。会議などですぐに結論が出ない時などに使われる便利な表現です。

(例)
Let’s park that idea for now and focus on the immediate priorities of this project.
そのアイデアは今のところ保留にしておいて、このプロジェクトの当面の優先課題に焦点を当てましょう。

2.13 Pivot

何か上手くいかなかった時に方向転換をすること。
ビジネスでは、例えば、事業戦略に行き詰った時に事業転換(路線変更)をするといった場面で使われます。もともとは、名詞で「回転軸」という意味になります。バスケットボールに馴染みのある方は、片足を軸足としてもう一方の足を動かす基本動作のピボットターンから方向転換であることが連想しやすいかもしれませんね。

(例)
We’re considering a pivot in our marketing campaign to better align with current consumer trends.
現在の消費者トレンドにさらに見合うようにするため、マーケティングキャンペーンの方針転換を
検討しています。

2.14 Run the numbers

試算すること。会計や財務の会議でしばしば耳にする表現です。
ビジネスでは、例えば、プロジェクト予算や発注業務、投資に関する議論などで財務的な計算、データ、数字を出すという意味合いで使われます。

(例)
Let’s run the numbers to see if the new pricing strategy will increase our profit margins.
新しい価格戦略で利益率が増加するかどうか数字を出して確認しましょう。

2.15 Silver Bullet

とても複雑な問題や課題に対処するためのシンプルで万能な解決策のこと。
問題を解決するための確実な方法という意味から、「特効薬」と訳されることもあります。実際の場面では、「簡単な解決策はない」というように否定的に使われることが多い印象です。直訳すると、銀の弾丸という意味です。一撃で問題を解決してくれそうな表現ですね。

(例)
There’s no single silver bullet for achieving success in the highly competitive tech industry; it’s all about continuous innovation and adaptability.
競争が非常に激しいテクノロジー業界で成功を収めるための特効薬はありません。継続的なイノベーションと適応力が重要です。

3. 会議で理解出来ると役立つビジネス英語 ~上級10選~

英語の会議で理解出来ると役立つ用語です。

聞いた時に意味を理解できるようにしておくと差が付くはずです。

3.1 Blue sky thinking

既成概念にとらわれない極めて独創的な考え方のこと。
直訳すると、青空の発想といったところでしょうか。「非現実的な考え方」というようにネガティブな表現として使われることもありますが、必ずしもそういうわけではありません。ちなみに、同じように空が出てくる実現性のないものを意味する表現として、“pie in the sky”「絵に描いた餅」があります。

(例)
Our brainstorming session encouraged blue sky thinking to generate innovative ideas for the next product launch.
ブレインストーミングセッションでは、次回の製品ローンチのための革新的なアイデアを生み出せるよう、既成概念にとらわれない自由な発想を奨励しました。

3.2 Boil the Ocean

意味のない、もしくは不可能な行動やプロジェクトに多くの無駄な時間を費やすこと。
直訳の「海を沸騰させる」という意味からも分かる通り、到底実現できそうもないことに無茶に挑戦しようとすることを意味します。このように連想すると覚えやすいですね。

(例)
We need to narrow down our objectives and avoid trying to boil the ocean with too many goals simultaneously.
一度にいくつも目標を達成しようと無茶をすることを避けるため、目標を絞り込む必要があります。

3.3 Evangelist

ビジネスでは、特定のブランドや商品を好んで熱心に支持し、他人に勧める顧客のこと。
また、現代のIT業界においては、エバンジェリストという職種があり、ITの技術などについて社内外に広く分かりやすく説明し、啓蒙する役割を担う人のことを指します。もともとは、キリスト教の「伝道者」を意味する単語ですが、そこから派生してビジネスでも使われているのでぜひ理解しておきたいです。

(例)
She is a passionate product evangelist, always promoting our company’s latest innovations.
彼女は製品の熱心な支持者で、いつも当社の最新のイノベーションについて宣伝してくれます。

3.4 Guru

熟練したスキルを有するプロフェッショナルや専門家のこと。
他の呼び方としては、”thought leader”や”ninja”などがあります。宗教の導師や教祖などを指す言葉でもありますが、指導者、権威者、第一人者と言う意味もあります。例えば、”business guru”は財界の第一人者と訳すことができます。

(例)
We’re bringing in a leadership guru to conduct a management training workshop for our executives.
役員向けの経営トレーニングのワークショップを行うため、リーダーシップの専門家を招きます。

3.5 Low-Hanging Fruit

すぐに成果を出せる課題や、簡単に達成できる目標のこと。
例えば、予算達成のために早急に結果を出す必要がある場合などに、まずは今すぐ簡単に達成できるところからやっていこうという意味で、”Let’s pick the low-hanging fruit first, and go from there.” など言うことができます。直訳すると、「低いところに垂れ下がる果物」になるので、確かに簡単に手に入りますね。反対に、”high-hanging fruit”といえば、達成困難な課題や目標を意味します。

(例)
Let’s start by addressing the low-hanging fruit in our cost-cutting efforts, such as reducing unnecessary overhead.
コスト削減の取組において、不要な諸経費の削除など、簡単に達成できるところから取組みを始めましょう。

3.6 Lots of moving parts

多くの部署や様々なプロセスの連携が必要な複雑なプロジェクト、業務、職場環境のこと。
例えば、建設プロジェクトを想像してみてください。設計をし、許可を取り、資材を調達し、さらに現場で実際の作業を行う人員の確保をするなど多くのプロセスと人が関与することになります。その場合、”This project has a lot of moving parts.”と言えます。また、直訳すると”moving parts”「可動部分」となることから、まだ変更になるかもしれない「未確定要素」を意味する場合もあります。

(例)
Our product launch involves lots of moving parts, including marketing, production, and distribution.
我々の製品の発売には、マーケティング、生産、および配送を含む多くの要素が絡み合います。

3.7 Move the Needle

目に見える実質的な変化をもたらすこと。ビジネス全体の目標達成のためにプロジェクトや業務を通して目立った影響を与えること。
比喩として使われていますが、直訳は「針を動かす」という意味です。ここでの針は、アナログ式UVメーターという音量測定装置の針のことで、音が小さすぎるとその針が動かないことから派生した表現です。ビジネスでは、なんらかの変化を起こさないといけない場面でよく耳にするフレーズです。

(例)
Let’s analyze the data to identify which key performance indicators can truly move the needle in our quarterly sales.
データを分析して、どのKPIが四半期の売上に本当に影響を与えるかを特定しましょう。

3.8 Push the Envelope

限界に挑むこと。許容範囲を超えてさらに高みを目指すこと。
ここでは、”envelope”(封筒を押すという意味ではありません。飛行機の専門用語で、飛行機が安全に飛行出来る範囲の限界点を意味する言葉が由来になっています。

(例)
To achieve groundbreaking results, we must be willing to push the envelope and explore new strategies.
革新的な結果を出すためには、限界に挑戦し、新たな戦略を進んで探求しなければならない。

3.9 S.W.A.T. team

ビジネスでは、実際に計画や解決策を実行に移す個人の集まりのこと。
日本語でもSWAT(スワット)と呼ばれます。計画を立案するチームは”tiger team”です。本来は、”Special Weapons And Tactics”(特殊武装及び戦術)の略でアメリカの特殊部隊を意味します。例えば、社内でプロジェクトからの要請を受けてある特定の分野の問題解決を支援するチームのことを指して使われることもあります。

(例)
When a cybersecurity threat emerged, our IT department assembled a SWAT team to address the issue promptly.
サイバーセキュリティの脅威が出てきたとき、IT部門が即座にその問題に対処するため、SWATチームを立ち上げました。

3.10 Trim the fat

コスト削減のため、無駄をなくすこと。
その対象は、プロジェクトや経費など文脈によって変わります。最適化を意味する”streamline”の方がより一般的に使われます。(1.22 ”Streamline” 参照

(例)
Our financial consultant recommended trimming the fat from our investments to increase profitability.       財務コンサルタントは、利益率を高めるため、投資の無駄を削減することを推奨しました。

4. さいごに

ビジネスで一般的に使われる用語だけでなく、直訳では理解が難しい比喩的な表現までまとめました。全て実際のビジネスの会議で使われている表現です。なるべく実践で使えるように、実際の会議で使われた状況に近い例文を選んでいます。ぜひ、繰り返し目を通して明日の会議から活用してみてください。
また、すぐに使いこなすのが難しい表現についても、頭の引き出しに入れておきましょう。会議でそのフレーズを耳にしたときの理解度に必ず差が出るはずです。

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