結論からお伝えすると、TOEIC 900点を取得できるのはすごいです。
「TOEIC 900点を持っていても英語が話せるわけではない」という声を聞くことがあります。確かにTOEIC 900点は英語でのコミュニケーション能力に直結するわけではないですが、それでもTOEIC 900点を取得する人は、かなりの高い英語力があると考えられます。
筆者は仕事柄、TOEIC 900点相当をお持ちの受講者の方の英語を目にすることが多くあるのですが、やはりどの方も、英語で自分の考えを伝えることができる高い英語力を持ち合わせている印象です。実際に英語を使ってバリバリ仕事を進めている方も多くいらっしゃいます。
そうはいっても、そもそも「英語力」自体が様々な定義がある抽象的な概念なので、TOEIC 900点はすごいです!と言われてもなかなかイメージがつかないのも当然です。
この記事では、TOEIC 900点のすごさを皆さんが理解できるように、様々な角度からわかりやすく解説をしていきます。
まず1点目として、希少性があげられます。100人の中でTOEIC 900点を取れる人は4人程度と言われるほど取得難易度が高いスキルです。
2点目として、TOEIC 900点を取得しているとビジネスパーソンとしての市場価値が高まります。高い英語力があるゆえに開かれる道が多くあります。
そして、TOEIC 900点を取ること自体すごいことのですが、高い英語力を活かし、実際に英語でコミュニケーションが取れるような「英語を運用する力があり、仕事を進められる人」が本当にすごい人と言えます。
なぜTOEIC 900点がすごいかという理由について、以下で詳しく解説していきます。
目次
1. データが裏付けるTOEIC 900点がすごいと言える理由2点
まずは下記の2つのデータを通して、客観的な視点からTOEIC 900点のすごさを見ていきましょう。
1.1 TOEIC 900点取得者は約80万人中わずか約4.2%
国際ビジネスコミュニケーション協会が発表しているデータによると、受講者数約80万人の中で、スコア895以上を取得できたのは全体のわずか4.2%です。100人中4人しか取れないスキルということになるので、TOEIC900点を取得できた人は、英語学習にかなりの時間と労力をかけた英語上級者と考えられます。
1.2 TOEIC 900点を取るためには正答率90%が必須!
TOEICはリスニング100問、リーディング100問の計200問で満点が990点のテストです。しかし、1点5点という単純な計算ではなく、統計処理を加えたうえでスコアを算出しています。これは、各回の問題の難易度の違いで、スコアに差が出ないようにするためです。そのため、何問正答すれば確実に900点が取れると言い切ることはできないのですが、リスニング、リーディングともに450点前後を取る場合、どちらも91~95点ほどの素点、正答率は90%以上が目安となります。
TOEICは限られた時間の中で大量の問題をスピード感を持って解いていくことが求められるテストですが、その中で高い正答率をあげることができる900点取得者は、英語に対する高い理解力と情報処理能力を持っていると考えることができるでしょう。
2. ビジネスパーソンとしての市場価値からわかるTOEIC 900点の凄さ3選
TOEIC 900点ほどの高い英語力は、ビジネスパーソンとしての市場価値を高めます。TOEIC® Program DATA&ANARYSIS 2021によると、公開テストの社会人の平均スコアは637点となっており、900点は社内でいかに希少な人材かということがわかりますね。実際高い英語力があると、ビジネスにおいてどのように市場価値を高めてくれるのか、具体的に3つのパターンを下記に挙げます。
2.1 高度な専門資格に英語力を掛け合わせてキャリアの幅が広がる
そもそも高い専門的知識や資格を持っていること自体が自身の市場価値を高めることに寄与しますが、そこに高い英語力を掛け合わせることでさらに市場価値を高めることができます。
例えば、世界共通のビジネススキルともいわれる「会計」。公認会計士がTOEIC 900点ほどの高い英語力を持てば、国内企業や監査法人から海外のファームへ出向するといった働き方ができます。あるいは独立した会計士であれば、場所を問わず働くことができますし、海外クライアントを持つこともできます。
2.2 高い英語力が必要とされるポジションに就ける
高い英語力がなければ就くことができないポジションがあります。外資系企業といえども全社員が英語が堪能というわけではありませんので、TOEIC 900ほどの高い英語力があれば社内でも英語ができる人材として認識されます。
例えば、外資系企業では外国人役員が多く登用されます。その場合、外国人役員直下の部長職では、ビジネススキルや実務経験だけでなく、高い英語力とコミュニケーションスキルも求められるポジションとなります。
他にも、外国人エンジニアを多く採用するIT企業では、プロジェクトを管理するマネージャーは進捗の確認や優先順位の整理など、日本語でプロジェクト管理を行うのと同じレベルでのコミュニケーションを英語でとる必要があるため、高い英語力が求められるポジションとなります。
2.3 英語が必要となる場面でひっぱりだこ
TOEIC 900という高い英語力があるゆえに、社内で英語でのコミュニケーションが必要な場面では重宝される存在になります。
例えば、英語でのメール作成や電話応答はもちろんのこと、英語での会議が多い会社では職種を超えて通訳や翻訳を任されるなど、英語力そのものを活かす場面が多くなります。
3. 4技能からわかるTOEIC 900点の英語力
TOEIC 900点を取得できる人は一体どれくらいの英語がわかるのか気になるところだと思います。この章では、実際の英文を使って、4技能からTOEIC 900点の英語力を見ていきたいと思います。なお、英語力には個人差があるため、下記で紹介する英文はあくまで900点レベルをイメージしてもらうための題材となります。
3.1 リーディング
内容や単語のレベルによって読むスピードが変わりますが、TOEIC 900点を取得できる人は1分間で150単語以上の英文を読めると言われています。例えば、下記のような英文は1分程度で読み切ることができるということになります。
In today’s competitive business world, strategic planning is essential for sustainable growth. Strategic planning involves setting long-term goals and devising a roadmap to achieve them. One crucial component of this process is a SWOT analysis, which stands for Strengths, Weaknesses, Opportunities, and Threats. Firstly, a company identifies its internal strengths and weaknesses. Strengths can include a strong brand, talented employees, or advanced technology. Weaknesses might involve outdated systems, inadequate training, or financial constraints. Understanding these aspects helps a company leverage its strengths and mitigate weaknesses. Secondly, companies must assess external factors. Opportunities could be market trends, emerging technologies, or global expansion. On the other hand, threats may include competition, regulatory changes, or economic downturns. Recognizing opportunities allows businesses to seize them, while identifying threats enables them to take proactive measures. Once the SWOT analysis is complete, companies can formulate strategies that align with their objectives. These strategies encompass product development, marketing initiatives, cost management, and more. Effective strategic planning ensures that a company remains agile in a dynamic market and can adapt to changing circumstances. (175 words) |
3.2 リスニング
リスニングも単語のレベルや内容が理解度に影響しますが、TOEIC 900点取得者は下記の音声をディクテーション*すると、1回の聞き取りで95%以上を正確に書き取ることができます。
*ディクテーション:聞こえた音声を聞こえた通りに全て書き取る英語練習法
I’m a member of the marketing team at one of the top automobile companies in Japan. Due to the fact that we have offices worldwide, we frequently have online meetings. Naturally, we also go on business trips abroad to meet with the other teams, but those tend to be quite costly. This is the main reason why the company prefers to meet online. I’m not big on video conferences, however. We sometimes have connection problems, and there are times when I can’t catch what people are saying due to sound issues. |
3.3 ライティング
TOEIC 900点を取得できる人は、使う単語や表現の仕方は様々ですが、自分の考えや複雑な内容を誤解なく伝えることができます。
下記は、以下のような内容を英語で伝える時の英文メールの例です。
【内容】
- システム開発会社にシステムの開発を依頼している
- 当初の予定では6月に完成予定だったが、7月になっても完成の兆しすら見えない
- システムが完成しないので、新サービスのリリースを延期せざるを得ない状況になっている
- 確実に遂行できるプロジェクトのタイムラインを引き直し、提案してほしい
Dear Mr. A. Thank you so much for your continuous support on developing our company’s new system, I’m writing you for asking a few questions regarding it. We expected to release our new service using this system in last month, but it turned out that we have to postpone its release day because of delay in its development. I’m afraid that we have to push it back further, since it’s almost July but we couldn’t see the progress we expect as planned. Would it be possible for you to revise the timeline of this project and send it to me so that I can confirm? Please let me know if you have any questions regarding my request. Best regards, Taro Yamada |
3.4 スピーキング
多くの方が一度は英語で自己紹介をしたことがあると思いますが、TOEIC 900点を取得できる人は、表現の違いはあれど、1分間で下記の内容を含めた自己紹介をほぼ正しい文法ですることができます。
【自己紹介で述べる内容】
- 話始めのあいさつ
- 名前と企業名
- 現在のポジションと仕事内容
- 前職でやっていたこと
- プライベートの過ごし方
- 終わりのあいさつ
【1分間の自己紹介の例 スクリプト】
Hello. Nice to meet you. I’m Taro Yamada. I have been with ABC Innovations for five years. I work as a research scientist. My main responsibilities include conducting experiments and analyzing data to develop cutting-edge technologies in quantum computing. Before joining ABC Innovations, I worked at XYZ Electronics as a hardware engineer. In that role, I was responsible for designing and testing electronic circuits for consumer electronics products. Outside of work, I enjoy hiking, photography, and playing the guitar. I’m really looking forward to getting to know all of you better. Thank you. |
4. 他のテストに換算してわかるTOEIC900点のすごさ3選
CEFRとは、ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得度を示すガイドラインで、A1~C2の6段階で区分されています(C2が最も高いレベル)。CEFRは外国語の習熟度を同一の基準で測ることができる国際的な指標であるため、TOEICのスコアをCEFRに換算することで他の試験におけるおおよそのスコアを予測することができます。
国際ビジネスコミュニケーション協会が発表している資料によると、TOEIC 785~940はCEFRのB2にあたるとされています。CEFR B2レベルは下記のように定義されており、中上級者という位置づけになっています。
B2=自立した言語使用者
- 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑な文の主要な内容を理解できる。
- お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である。
- かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細な文を作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる。
4.1 IELTSに換算すると6.0~6.5相当!海外の大学への進学が可能なレベル
IELTSは主にイギリスやオーストラリアの大学や大学院で英語力の証明として採用されている試験です。IELTSの公式サイトにて、CEFR B2はIELTS 5.5~6.5相当とされており、TOEIC 900点は6.0~6.5相当と予測されます。
IELTS 6.5相当となると一部の学校や学部を除いてイギリス、オーストラリアのほとんどの大学に出願することができ、学部によっては大学院にも出願することができます。
ただし、IELTSはライティング、スピーキングも含む4技能のテストなので、TOEIC 900点取得者が必ずしもIELTSで6.5をとれるとは限りません。
4.2 TOEFL iBTに換算すると80~90相当!アメリカの4年制大学に進学が可能なレベル
TOEFL iBTはIELTSと同じく、海外大学への留学や進学する際に英語力の証明に利用されるテストですが、主にアメリカの大学で必要となることが多いです。CEFT B2はTOEFL iBTで72~94相当とされており、TOEIC 900点であれば80~90点相当と考えらえます。TOEFL iBTも4技能を測るテストなので、TOEICとの純粋な比較はできないのですが、TOEFL 80以上あればアメリカの大学進学に必要な語学力はクリアしていると考えてよいとされています。
4.3 TOEIC 900は英検準1級~1級相当!語彙力はビジネスに必要といわれる8000単語以上
誰でも一度は受けたことがあるおなじみの英検ですが、CEFR B2は英検準1級~1級相当とされています。
英検準1級で求められる語彙力は約8000単語といわれており、これは英語でビジネスを行う際に求められる語彙力とほぼ同じです。ちなみに英検1級合格に必要な語彙力は15,000単語と準1級と比べて大きく跳ね上がるので、TOEIC 900点を持っていてもきちんと英検1級対策をしないと合格はかなり難しいです。
5. TOEIC 900点はすごい!が、英語を話してコミュニケーションが取れる人が本当にすごい人
これまで、さまざまな角度からTOEIC 900点のすごさを解説してきました。TOEIC 900は実際すごいスキルなのですが、TOEIC 900点を取得したうえで、英語でしっかりとコミュニケーションをとれる人が本当に英語を武器として活躍できる人です。
5.1 TOEIC 900=英語でコミュニケーションが取れるとは限らない
普段耳にする「TOEIC」は、Listening & Reading Testを指すことが一般的です。そのため、TOEICの高スコアが英語でのコミュニケーション力の高さを直接証明することはできません。
国際ビジネスコミュニケーション協会がTOEIC Listening & Reading TestとSpeaking Testのスコア比較表を発表しており、TOEIC 900点のレンジはSpeakingだと160相当と予測されています。TOEIC Speaking Testは200点満点のテストのため、単純計算ではありますが、200点中160点というと正答率80%程度と推測でき、Listening & Reading Testでの正答率90%よりも落ちていることがわかります。
5.2 TOEIC 900点があり、かつコミュニケーションが取れる人こそ真のグローバル人材
TOEIC 900点は取得難易度の高いスキルで、持っていたらすごいことは間違いありません。ですが、そのうえで、実際にコミュニケーションが取れる英語「運用力」が備わっている人こそ、真のグローバル人材と言えます。
ネイティブスピーカーと対等にコミュニケーションが取れる人たちに共通しているのは、「常に英語にさらされ、アウトプット量はもちろんインプット量も圧倒的」ということが言えます。
TOEIC 900点を取れるからといって英語でコミュニケーションが取れるとは限りませんが、留学や海外勤務経験者が帰国後にTOEICを受検すれば、特にしっかりと試験対策をしなくても自前の知識で900点以上のスコアが取得できると聞いても不思議ではないのはこの理由があるためです。
5.3 コミュニケーションが取れる人と取れない人の差はずばり「英語をアウトプットする瞬発力」の差
TOEIC 900点を持っていてコミュニケーションが取れる人と取れない人の差は、いかに知識を素早く引き出してアウトプットできるかにあります。
つまり、同じTOEIC 900点で「知識として知っている」文法やボキャブラリーの量が同じでも、実際に英語を使わなければならない場面にどれだけ遭遇し、頭の中に眠っている知識をどれだけ引き出して使ったか、その経験の差がコミュニケーション力の差となります。
将来英語を使って仕事をしたいというキャリアパスを描いている人は、TOEIC 900点を取得できれば、頭の中には十分な知識が蓄積されていることは間違いないので、次はその知識を使いこなす練習が必要になります。
まとめ
本記事を通して、TOEIC 900点を取得できることはすごいということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
英語力は一生ついてくるスキルですので、ぜひ皆様も英語の勉強に取り組み、TOEIC 900を持つ「すごい人」の仲間入りを目指してみてはいかがでしょうか。
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