英語上級者の伸び悩み6タイプとそれぞれの克服法を同時通訳者が解説
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目次
1. 伸び悩んでいるあなたはどのタイプ?最初に確認するべき6つのタイプ
まずは、あなたに当てはまるお悩みタイプを次の6つから選んでみましょう。
1.1 タイプ①【聞けるけどスピードが速いと聞けない】
1つ目のタイプは、【聞けるけどスピードが速いと聞けない】です。特徴と課題をみていきましょう。
~このタイプの特徴~
- 教材や英会話レッスンの比較的スピードが遅い英語の聞き取りには苦労しないが、ネイティブの自然な速さの会話に加わると英語が聞き取れず話についていけなくなる。
- 洋画は字幕がなくてもほとんど聞き取れるが、早口になると展開についていけなくなる。
- オンライン会議でネイティブの発言のスピードが速くて何度も聞き返すことがある。
~このタイプの課題~
このタイプの人は、ネイティブの英語の速さに苦手意識を感じています。
英語には音のつながり(リエゾン)があり、単語同士の音がつながることで音に変化が起こります。単語同士が切れ目なくつながることで、発音がなめらかに聞こえるため、ネイティブの流れるようなスピードの英語にはこのリエゾンが欠かせないのです。
例えば、単語の最後が子音で終わり、次の単語が母音で始まる場合、その子音が次の単語の母音の音にくっついて聞こえることがあります。an appleは「アンアッポゥ」ではなく、「アナッポゥ」となります。また、子音同士がつながると前の単語の子音の音が消失します。good dayは「グッドディ」ではなく、「グッディ」となります。
また、自分が発音できない音は聞き取れません。ネイティブらしい自然なスピードの発音が出来ているかを確認することも速い英語を聞き取る上で大切です。
スピードが速くなってもそれぞれの単語の音自体が聞き取れている人はこのタイプには当てはまりません。
1.2 タイプ②【聞けるけど会話が複雑になると聞けない】
2つ目のタイプは、【聞けるけど会話が複雑になると聞けない】です。特徴と課題をみていきましょう。
~このタイプの特徴~
- ネイティブとの会話のやりとりはスムーズだが、ひとつの文章が長く複雑になると要点が分からなくなる。
- 知らない単語やフレーズが出てくるとそれらに気を取られて話のロジックを見失ってしまうことがある。
- カジュアルな会話は得意だが、ビジネスなどで専門的な用語が飛び交うと話が分からなくなることがある。
~このタイプの課題~
このタイプの人は、英語が長く複雑になってくると意味の理解が追いつかなくなります。
話の要点を捉えるには、「木を見ず森を見よ」と言いますが、ひとつひとつの単語の聞き取りに注意し過ぎて全体の流れを見失ってしまうのがこのタイプです。
読んで分からないものは聞いても分かるはずがありません。まずは、修飾語や関係代名詞で文章に枝葉がついてどんどん長くなったとしても、要点を捉えることができるように読解力を強化する必要があります。
また、聞いて分かるレベルの単語の引き出しを増やしておくことや、仕事で専門分野があれば最低限その分野の英単語は全て理解出来るようにしておくなど語彙の幅を広げておく必要があります。
1.3 タイプ③【聞けるけど英語の訛りが強いと聞けない】
3つ目のタイプは、【聞けるけど英語の訛りが強いと聞けない】です。特徴と課題をみていきましょう。
~このタイプの特徴~
- 英会話レッスンではネイティブ講師と問題なく会話出来るが、ノンネイティブとの会話になると聞き取れないことがある。
- 英語圏での滞在経験があり、TOEICのリスニングは満点だが、訛りがあるネイティブとの会話の聞き取りに苦労する。
- 普段慣れている人との会話は聞き取れるが、初めて会う人の英語の聞き取りが苦手である。
~このタイプの課題~
このタイプの人は、ノンネイティブやネイティブでも訛り(アクセント)がある人の英語が聞き取りづらい、あるいは、普段聞き慣れない英語の聞き取りに苦労しています。
改善のためには、様々な英語の訛り(アクセント)に触れる機会を増やすことが何よりも大切です。ネイティブでも国によって英語の発音が変わってくるので、しっかりと聞いただけで区別出来るようになるまで聞きこむ必要があります。
また、それぞれの国ごとに訛り以外にも独特の英語の癖(文法、単語など)があるので、合わせて理解しておくことも聞き取りの助けになるでしょう。
1.4 タイプ④【話せるけど議論になると話せない】
4つ目のタイプは、【話せるけど議論になると話せない】です。特徴と課題をみていきましょう。
~このタイプの特徴~
- 議論になると言いたいことがまとまらず、考えている間に終わってしまうことがある。
- 議論になると自分の話がよく分からなくなる。または、そう指摘されたことがある。
- 議論になると論点が理解できずに自分の意見を返せなくなることがある。
~このタイプの課題~
このタイプの人は、自分の意見を英語で論理的に述べることに苦手意識があります。
議論では相手を納得させ、信頼感を与えることができるように道筋を立てて話すことが大切です。まずは、発言を論理的にまとめられるようにライティング力を強化し、スピーキングでも同様に話の構成を考えて発言できるようになりましょう。
また、議論の内容をしっかりと理解できずに適切な返答が出来ていない場合もあるので、相手の発言を聞いて要点をまとめるための要約力をつけることも大切です。
1.5 タイプ⑤【話せるけどすらすら長く話せない】
5つ目のタイプは、【話せるけどすらすら長く話せない】です。特徴と課題をみていきましょう。
~このタイプの特徴~
- 英語圏での滞在経験があって英語は得意だが、以前のようにすらすら英語が出てこないと感じる。
- 受け答えのスピードがゆっくりで会話のキャッチボールが続かない。
- メールのやりとりなら得意だが、英会話になるとすらすら長く話せない。
~このタイプの課題~
このタイプの人は、英語を話す機会が前よりも減ってしまい、実際に話すとなかなかスムーズにいかないと感じています。
英語のアウトプットの機会を今よりさらに増やして感覚を取り戻すことが何よりも大切です。英語を第2言語として習得した場合、話す機会が減れば減るほど、会話のスピードについていけずにすらすらと長く話せなくなるのは自然なことです。
また、メールなどライティングになると英語がすらすら出てくる場合は、口頭での英語に反応するスピード(レスポンス)が鈍っていることが原因かもしれません。
1.6 タイプ⑥【話せるけど伝わるように話せない】
6つ目のタイプは、【話せるけど伝わるように話せない】です。特徴と課題をみていきましょう。
~このタイプの特徴~
- 流暢に話すと思われがちだが、内容が伝わっているのか自信がない。
- 感覚だけで英語を話すことになれてしまい、相手に誤解を与えるような話し方をしていないか心配になる。
- 同じことを別の人が発言すると自分よりも伝わっていると思うことがある。
~このタイプの課題~
このタイプの人は、テンポ良く英語を話せる半面、早く話さなければという焦りからとりあえず話し始めるために内容がまとまらないと感じています。自分の話の内容を俯瞰して見ることができていないので繰り返しが多くなり、話が冗長になりがちなのもこのタイプです。
きちんと自分の発言を覚えて維持しながら(リテンション)整理して話すスキルが必要です。
また、誤解を与えずに話すためには、意見を湾曲に伝えてコミュニケーションがより円滑になるフレーズを活用するのがおすすめです。
さらに、話の内容は問題なくても話し方で相手に伝えたいことが上手く伝わっていない可能性もあります。これを機に伝わりやすい話し方をしているかどうかも見直してみましょう。
2. タイプ①【聞けるけどスピードが速いと聞けない】おすすめ克服法
2.1 ディクテーション
英語の音のつながり(リエゾン)を理解するにはディクテーションが最適です。
聞いた英語を全て書き起こすことで、自分はどの音が聞こえていないのか、また、聞き取れない原因となる音の変化(リエゾン)はどこにあるのかを確認することができます。自分がどれだけ聞き取れているかを確認するためにも、ディクテーションをしたことがない方はぜひ一度試してみてください。
方法はとても簡単です。ネイティブがナチュラルに話すスピードの音源を選んで、音源を聞きながら聞いた英語を全て書き起こしてみましょう。一度で聞き取れない箇所は繰り返し聞いてみましょう。パソコンに入力する方がスピードについていきやすい場合はそのようにしても構いません。後で答え合わせができるようにスクリプト付のインタビューやスピーチなどをネットで探すのがおすすめです。
さて、全てを書き起こすことができたでしょうか?自分が聞いた音と音源の音にギャップはなかったでしょうか?もし書き起こせない単語があった場合は、音の変化を捉えきれずに速さについていくことができなかったか、その単語の発音を知らなかったことが原因です。音源のスピードを調整できる場合は、まずはスピードを落としてから徐々に速くして自分がどのスピードになると音のつながりについていけなくなるのか自覚できるようにしましょう。何度もディクテーションを続けることで、自分が聞き取れない音のパターンがみつかるはずです。
2.2 シャドーイング
自分の発音がネイティブの発音とずれがないかを確認するにはシャドーイングが最適です。
自分の認識している発音が正しい発音とずれてしまっていては、何度英語を聞いても聞き取れるはずがありません。ネイティブの自然な速さの英語の後について、同じ発音、スピード、リズム、強弱、トーンまで意識しながら声に出して真似てみましょう。
ただ単に聞いた音を声に出して満足してしまっては効果が薄れてしまうので注意が必要です。客観的に自分の発音を後で確認するためには、発話を録音して復習することが何よりも大切です。シャドーイングは同時通訳の訓練でも重要で、通訳者は速いスピードが予想される会議の前に耳と口を速さに慣らす方法としてウォーミングアップに取り入れています。
2.3 発音(フォニックス)
速いスピードについていくために発音の正確性を確認することの重要性は2.2シャドーイングでも述べましたが、さらに発音を強化する方法としてフォニックスに触れてみるのも良いかもしれません。
日本では、英語を学び始めるときに、まずはアルファベットの読み書きを練習します。ABCD(エー、ビー、シー、ディー)のように覚えますが、実際の単語では、badは(ビーエーディー)とは発音しません。英語の発音とつづりの関係性を理解するためのルールがフォニックスです。音のルールを理解することで単語を見たままに発音できるようになるため、英語圏では子供たちの読み書きの練習に使われています。
フォニックスでは、ABCD(ェア、ブ、ク、ドゥ)と覚えます。したがって、badは(ブェアドゥ)となり、単語を覚える時点で正しい発音が身につくようになっています。分からない単語にはカタカナをまずふってから発音記号を確認して…と覚えていくと最初から発音にずれが生じてしまう可能性があるため、まだやってみたことがないという方は学んでみるのもひとつの対策になるはずです。
3. タイプ②【聞けるけど会話が複雑になると聞けない】おすすめ克服法
3.1 サイトトランスレーション
読解力を強化するためにはサイトトランスレーション(サイトラ)が最適です。
英文をその場で声に出して訳していく非常にシンプルなメソッドですが、前からどんどん訳していくことがポイントです。
例えば次の例文を訳してみましょう。
The restaurant, where we had dinner last night, is known for its delicious seafood dishes.
通常は以下のように訳します。
(昨日私たちが夕食を食べたレストランはシーフード料理が美味しいと知られています。)
サイトラでは以下のように訳します。
(あのレストラン/私たちが夕食を昨日食べた場所ですが/知られているのが美味しいシーフード料理です。)
最初に文章を読んで理解してから語順を無視して訳すのではなく、前からどんどん訳して文章をつなげていくことが重要です。ネットの英文でも英字新聞でもなんでも構いません。とにかく英語を読みながら前から声に出して言い直すことなく訳していきます。そうすることで、英語を聞いたままの順番で理解することが出来るようになり、どんどん長くなる英文も区切りながら処理していけるので、文章が複雑になってもついていける力が身につきます。
このメソッドは同時通訳(英語を聞きながら同時に訳していく通訳方法)でも効果的です。前から訳すので文章の最後まで待つことなく即座に訳すことができるだけでなく、分からない単語が出てきてもそれにとらわれずに次に集中することができるので、要点を取りこぼすことなく通訳をすることができます。
3.2 オリジナル単語帳
語彙力を強化するためにはオリジナル単語帳の作成が最適です。
通訳者は会議のテーマについて事前にとことん調べ、色々な角度から単語帳(グロッサリー)を作成します。そうすることで、少なくともそのテーマについては会議出席者と同等の理解力を短期間で身につけ訳せるように対策をしています。
例えば、あなたが参加する会議で「リモートワーク」について議論することになったとしましょう。リモートワークなら英語でどんなものか説明出来るし、議論の聞き取りも問題ないだろうと準備なしに会議に参加するとします。ところが、リモートワークから話が膨らみ、オフィスを利用しなくなる場合の設備の売却の話になり、固定資産、均等償却などどんどん話が複雑になり会計用語の英語に不慣れなあなたは聞き取りが追いつかなくなる…ということが起こらないとも限りませんよね。
明日の会議からすぐに実践出来る方法としては、議題に関連する単語を連想ゲームのように洗い出して単語帳を作成し、時間があればさらにそれらを録音して耳からも理解できるようにしておくことです。特に、固有名詞や普段聞きなれないような難易度の高い専門用語が頻繁に登場する会議では、聞き落としがないように必ず事前に単語帳を準備しておくことをおすすめします。あなたが英語を聞き取ってから「ええと、日本語ではなんて言ったかな…?」とつまずいていても相手は発言を待ってはくれないからです。
4. タイプ③【聞けるけど英語の訛りが強いと聞けない】おすすめ克服法
4.1 ノートテーキング
様々な英語の訛り(アクセント)のインプットを増やすためにはノートテーキング(メモ取り)が最適です。
ノートテーキングの方法は、「TED Talks」でノンネイティブの音源を探し、発言を聞きながら、聞いた内容をメモしていきます。TEDでは様々な国のスピーカーが話すので、ノンネイティブが話す英語の音源を効率的に探すことができます。
全てを書き取るディクテーションとは異なり、ノートテーキングで気を付けるべきポイントは、聞いて理解してから理解した内容をメモするということです。メモを取ることに夢中になり、メモを見ても結局話が分からなくなってしまっては本末転倒なので気を付けましょう。ノートテーキングは通訳者が実際に業務で使うメソッドで、逐次通訳(ポーズを入れる通訳方法)では、ノートテーキングで取ったメモをみながら訳していきます。
例えば、あなたが働く会社に新しくフランス人が入社したとします。フランス訛りの英語に慣れていないあなたは聞き取りに苦労するとします。その場合は、TEDでフランス人スピーカーやフランスで開催されたイベントを検索します。すると、フランス人が話す英語の音源がみつかるので、その音源を使ってノートテーキングをします。
基本的には一語一句を書き取るのではなく、聞いた内容のまとめをメモしていきますが、訛りがある単語がでてきたらメモに「?」をつけておくと、メモ取りの後で英語字幕と照らし合わせて確認することができます。実際の会話でもメモを取りながら話を聞くことで、リスニングと理解の助けになると思います。
さらに、ネットで検索すればフランス人の英語の特徴を詳しく教えてくれるサイトもありますのでぜひ参考にしましょう。
5. タイプ④【話せるけど議論になると話せない】おすすめ克服法
5.1 ライティング
論理的な発言をするためにはライティングの機会を増やすことが最適です。
英語でエッセイを書く時のように、構成ルールに則って自分の言いたい内容をまとめておくことができるようになると、発言内容が自然と論理的に分かりやすくなります。
エッセイの基本的な構成は以下の通りです。
- Introduction(導入):テーマについての背景を述べた上で自分の主張を提示する
- Body(議論):各パラグラフの最初にトピックセンテンスと言われる主張の根拠を簡潔にまとめる →その理由を議論を含めながら述べた上で結論を述べる
- Conclusion(結論): 全体の主張をまとめた上で今後の提案や希望を述べる
この構成ルールを実際の会話に落とし込んでみましょう。
例えば、明日の会議で新製品を発売するか否かの議論が予定されているとします。ルールの適用前と適用後では、会話の理解のしやすさがどう変わるかを確認していきましょう。
【前】新製品は売れるのでやっぱり出せるなら出したいと思いますが、現在売れている商品があり生産がひっ迫しているので難しいかもしれないし、でもやっぱり全体の売上に勢いを出したいし、そうでないと目標が達成出来なくなるから、そのためにも新しい風を吹かせたいので新製品が無理ならリニューアル商品を出すのもいいかもしれませんよね。
【後】新製品の発売は難しいと思います。なぜなら、現在売れ行きが好調な商品があり、生産がひっ迫しているので一から新製品のために製造ラインを立ち上げるのが課題となるからです。しかし、我々には全体の売上目標を達成するために売上を加速させることはやはり必要です。そのためにはリニューアル商品を出すのもいいかもしれません。したがって、生産の課題から新製品の販売は見送るべきだと思いますが、リニューアル商品であれば既存の製造ラインを活用しながら新しさをもたらすこともできると考えます。
適用後の文章の方が理解しやすいと思いませんか。
このように、議論の内容に合わせて自分の主張、根拠、結論をメモにまとめる練習をしてみましょう。最初から頭の中でまとめてそれを英語で発言できるのが理想ですが、そうするとうまく議論についていけなくなる場合は、まずは日本語または英語でエッセイを書くようにメモをまとめ、発言内容が論理的で説得力のある内容になっているか確認してみましょう。そしてそれもとに英語で発言することをおすすめします。
5.2 要約
先ほどご紹介したルールを念頭において、相手の発言の要点がどこにあるのかを聞いて理解できるようにもなりましょう。そのために効果的なのが、聞いた内容を要約することです。
音源はTEDでもニュースのコメンテーターの発言でも構いません。まず、いったい話者が何を主張しているのか、その根拠は何なのかに意識を向けながら音源を聞きます。聞き終えたら聞いた内容を自分の言葉で要約してみましょう。
ただ聞き流すのではなく、常に要点をとらえる聞き方(傾聴)をすることで、相手の発言の意図を理解出来るようになる練習です。余力があれば、その主張に対する自分の意見を実際に発言する練習をするとアウトプットの向上にもつながりさらに効果的です。
6. タイプ⑤【話せるけどすらすら長く話せない】おすすめ克服法
6.1 アウトプット
英語を使う機会が少ないのであれば、アウトプットをなんらかの方法で増やすことが最適です。
具体的には、2.2でご紹介したシャドーイングがおすすめです。実際の英語の音やリズムに口を慣らすことで、英語のアウトプットの感覚が戻ってくると思います。
また、日常生活で目に入ってくる文章を訳すことを習慣にすることも効果的です。例えば、あなたは今、優先座席の前に立っているとします。
「お年寄りの方、体の不自由な方、乳幼児をお連れの方、妊娠されている方に席をお譲りください」
英語にすると、どのように言えるでしょうか。
Please vacate these seats for seniors, people with disabilities, adults carrying children and pregnant women.
このように思いつくままに訳していきます。実際に同時通訳者が時間をかけずに楽しくアウトプットを増やすために行っているおすすめの方法のひとつです。
6.2 クイックレスポンス
英語に反応するスピード(レスポンス)が遅い場合には、クイックレスポンスが最適です。
通訳者のトレーニングでも使われる方法で、聞いた英語/日本語を素早く日本語/英語に口頭で訳していくことです。
単語帳をすでにお持ちの方は、日本語訳を録音し、その録音を聞きながら素早く口頭で英語に変換してみましょう。単純な英語でもその場で変換するとなると、すぐに口から出てこないと感じるはずです。
口からポンポンと英語が出てくるようになるまでクイックレスポンスの練習を続けましょう。聞いてから答えるまでにかかる時間を短くすることで会話がテンポよく進むようになります。会議でよく使うフレーズなどを吹き込んでおいて事前に練習をしておくと、本番でいつもよりもなめらかに話せるようになるはずです。
7. タイプ⑥【話せるけど伝わるように話せない】おすすめ克服法
7.1 リプロダクション
自分の発言を整理しながら話すには、リプロダクションが最適です。
リプロダクションの方法は、最初に音源を聞いてから、理解した内容を自分の言葉で英語にしていきます。まずは1センテンスから始めて徐々に覚えておくセンテンスの長さを伸ばしていきます。
ポイントは、聞いた英語をそのまま出すのではなく、自分の言葉に言い換えて同じ内容を英語で話すということです。慣れてくると聞いた内容を覚えておくこと(リテンション)が出来るようになるため、会話の途中で自分がついさっき話していたことを忘れてしまうということが少なくなるはずです。すると、頭で話を整理しながら話せるようになるので、相手もあなたの発言が理解しやすくなるというわけです。
7.2 フレーズ
誤解を与えずに話すためには、自分の意見を上手に伝えるためのフレーズが最適です。
日本語はハイコンテクストであると言われ、言葉以外の含みが高い、つまり、行間を読むような婉曲的な表現が好まれます。反対に、英語はローコンテクストであると言われ、言葉による表現が重視される、つまり、言わなければ伝わらない直球の表現が好まれます。
とはいえ、英語にもコミュニケーションを円滑にして伝えたいことを伝えるためのクッション言葉があります。日本語の場合と同じように、それらを上手く活用できるようになれば、相手に誤解されずに自分の気持ちが伝わりやすくなるのではないでしょうか。ネットでも色々と出てくるのでぜひ使えるようになりましょう。
相手を尊重しながら自分の意見を伝えたい場合におすすめの便利なフレーズの例です。
- In my opinion:私の考えでは
- As I see it:私が思うには
- It seems to me that:私が思うには
- If you ask me:私に言わせると
- In my humble opinion:意見を言わせていただくとすると
- With all due respect:お言葉を返すようですが/失礼ながら
- I see your point but:おっしゃることは分かりますが
7.3 話し方
それでもなぜか伝わらないという場合は、話し方の見直しが最適です。
日本語を話す時でも、小声でもごもごと発言する、「えーえー」と何度も言い直す、早口でまくし立てるような話し方では伝わるものも伝わりませんよね。聞き手にとっては負担でしかありません。話を伝えるための大前提として、聞き手にきちんと伝わるような話し方が出来ているかをあらためて確認しましょう。
英語がきちんと伝わるように話すにはいくつかポイントがあります。
- 大きな声ではっきりと発言する
- 重要な点は強調できるように特にゆっくりと大きく発言をして抑揚をつける
- 相手を説得させたい時は低い声で話す
- 視線はまっすぐ相手を見ながら発言する
- 話の区切りを意識して一呼吸おく
- 意味の区切りまできちんと途切れず話す
- So, やwell などの間を埋めるためのフレーズを多用しない
どれも当たり前のように聞こえるかも知れませんが、英語を話す時はこれらのポイントをさらに意識してみましょう。
日本人ではないですが、ノンネイティブがこれらのポイントをおさえずに話をしてしまい、ネイティブが話についていけずに嘆いていた場面に遭遇したことがあります。伝えたいのであれば伝わるような話のスピード、声の大きさ、姿勢が何よりも大切です。意識的に話し方を変えてみるのも今すぐ実践できる改善策の一つです。
8. まとめ
タイプ①【聞けるけどスピードが速いと聞けない】
【課題】
- 英語の音のつながり(リエゾン)が分からない
- 話せない音だから聞き取れていない
【克服法】
- ディクテーション
- シャドーイング
- 発音(フォニックス)
タイプ②【聞けるけど会話が複雑になると聞けない】
【課題】
- 要点を捉えるための読解力が足りない
- 複雑な会話についていくための語彙力が足りない
【克服法】
- サイトトランスレーション
- オリジナル単語帳
タイプ③【聞けるけど英語の訛りが強いと聞けない】
【課題】
- 様々な英語の訛り(アクセント)のインプットが足りない
【克服法】
- ノートテーキング
タイプ④【話せるけど議論になると話せない】
【課題】
- 論理的な発言をするためのライティング力が足りない
- 相手の発言を理解するための要約力が足りない
【克服法】
- ライティング
- 要約
タイプ⑤【話せるけどすらすら長く話せない】
【課題】
- 英語のアウトプットが足りない
- 英語に反応するスピード(レスポンス)が遅い
【克服法】
- アウトプット
- クイックレスポンス
タイプ⑥【話せるけど伝わるように話せない】
【課題】
- 発言を整理しながら話すためのリテンションが足りない
- 誤解を与えずに話すためのフレーズが足りない
- 相手に伝わる話し方をしていない
【克服法】
- リプロダクション
- フレーズ
- 話し方
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Writer
One Month Program
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