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英語を上達させるシャドーイングの効果的なやり方-同時通訳者が解説-

シャドーイングしている女性

通訳者が行う英語学習メソッドは通訳を目指す人やTOEIC900点以上の人だけの勉強法ではありません。通訳学習メソッドを使えば、英会話が苦手な人も、もう一歩伸び悩んでいる人も、リスニング力、表現力、英語の論理的思考が身に付きます。
その中でも代表的な学習法は「シャドーイング」です。通訳者の中でシャドーイングをしていない人はいないといっても過言ではないでしょう。

シャドーイングはその効果の高さから、今では一般の英語学習法としてもたくさん取り上げられています。

1. 正しいシャドーイングとは

シャドーイングとは「聞こえてきた英語を、そのまま英語で再現するトレーニング」です。英語の音声を聞いてその内容をきちんと理解し、耳から入る情報と同じ情報を同時に声に出すのがシャドーイングです。シャドーイングを正しく行えば、英語でのコミュニケーション力が飛躍的に向上します。特にスピーキング力と発音やイントネーション矯正などに効果的です。

シャドーイングは長年通訳訓練法に取り入れられてきましたが、その効果が高いことから現在ではビジネス英語力強化にも多く取り入れられています。

1.1 単なる繰り返しではない

シャドーイングとは「聞こえてきた英語をそのまま英語で表現するトレーニング」だとお伝えしましたが、残念ながら正しく行っている方は多くないようです。シャドーイングのトレーニングのはずが単なる「リピート練習」になっているのです。

シャドーイングはどうしても「聞きながら話す」というイメージが先行してしまい、多くの場合聞えてきた英語を自動的にまねて口で繰り返しだけになってしまっています。そのようなトレーニングを続けても効率的に英語力を身に付けることができません。

それではシャドーイングはどうすると一番効果的なのでしょうか?

1.2 重要なのは内容の理解

シャドーイングの本質は耳から入ってきた情報を理解することです。聞こえた英語を繰り返すといった見せかけのリピート練習ではなく、「内容を理解しよう」という姿勢が重要です。「この英語は何を言おうとしているのだろうか?」「このスピーカーは今どんな感情で話しているのだろうか?」「このテキストの中で一番大切なポイントはどこだろ?」といったことを意識して行います。これらを意識して行うシャドーイングは最初は5分も集中力が持たないでしょう。

1.3 リピーティングではなくリプロダクション

相手の言葉を理解し、共感しながら聞くというのは「シャドーイング」に限らずコミュニケーションの理想的な形です。通訳ではアウトプットのことをリプロダクション(Reproduction)とも呼びます。

リプロダクションとは「再現」という意味です。リピート、つまり「反復」ではありません。そのため聞えてきた言葉と100%同じ言葉をアウトプットする必要はありません。「再現」は一語一句正確に繰り返すことではないからです。
大切なのはインプットとアウトプットが同じDNAを持っていること。「使っている単語は違っても、言っていることは同じ」であればそのシャドーイングは合格です。重要なのは内容レベルで正確な再現性を持っているかです。

2. シャドーイングで期待できる効果

ネイティブスピーカー独特の「発音」、「英語のリズム」、「音の強弱」、「イントネーション」などに注目し、改善することにより、より伝わりやすい英語を身につけることができます。さらに日々練習を重ねていくことで「リスニング力」、「スピーキング力」、「語彙力」の強化にも繋がります。

2.1 リスニング力の強化

シャドーイングのポイントは、「聞こえてくる英語と全く同じ発音・スピードで」繰り返すことにあります。そのためにはいつも以上に集中して英語の音声を聞く必要があります。繰り返し練習をすることで、英語のスピードに慣れ、これまで聞き取れなかった一瞬の音で入り込む単語もわかるようになっていきます。

2.2 スピーキング力の強化

英語の音声を繰り返し聞いて発音することで、そのスピーカーならではのイントネーションやリズム、文の区切り方などを自然に身につけることができます。スピーチの音声を使用する場合は、意味にも注意を向けて、まるで自分がそのスピーチしているかのようにシャドーイングができるようにしましょう。そうすれば「相手に伝わる英語の話し方」が身につきます。スピーキングに対する苦手意識も克服できますので、結果的にスピーキング力の向上に繋がるのです。

2.3 語彙力の強化

英語の音声ををそっくりそのまま真似するシャドーイングは、自ら声に出しながら英語を練習するため、ただ単語だけを覚えるよりも、圧倒的な語彙数を身につけることができます。また実際の発言でその単語がどのように使われるのかを自然に理解することもできます。ただし、そのためには意味のわからない単語はそのままにせず、しっかりと調べ、発言の中での意味や話者の気持ちを考えてシャドーイングすることが大切です。

3. 効果的なシャドーイングのやり方

効果的なシャドーイングのやり方をご説明します。最初から完璧にできなくても大丈夫です。毎日繰り返し練習しましょう。

【ステップ1】内容を理解する

まずはシャドーイングする文章を読んで内容を理解します。日本語訳がある場合は英語と日本語役の両方に目を通します。シャドーイングでは内容の理解が非常に重要ですので、しっかり意味をつかんでください。

【ステップ2】知らない単語・表現をチェックする

リーディングの際にわからない単語や表現が出てきたときは辞書で調べてください。なんとなくの理解ではなくきちんと内容がわかってからのシャドーイングでなければ、英語力アップは限定的になってしまいます。

【ステップ3】音読する

内容を理解した後は、テキストを見ながら英文を音読してください。音声と一緒に音読してもいいですし、音声無しでもOKです。3回以上音読して、耳と口を英語に慣れさせましょう。

【ステップ4】 シャドーイング

ステップ1から3までの準備ができたらいよいよシャドーイングを始めます。

テキストは見ずに音声だけを聞いて、聞いている音声から少し遅れて発音してください。アクセント、息継ぎやスピード、感情まで真似て意味を考えながらスピーカーになりきって発音してください。

自分のシャドーイングしている声を録音してください。聞きなおしてテキストと見比べ、どこがあっていてどこが間違っているか比較してください。

間違っている箇所が5個以下になるまで繰り返し練習してください。次々に新しい文に進むのではなく、短い文でもいいので完璧にシャドーイングができるようになってから次のテキストに進みましょう。

4. シャドーイングのポイント

シャドーイングはインプットした情報を再現することが大切です。10のうち1つの情報しかアウトプットできなくても、何か口から出すことが最初の目標です。

4.1 集中して行う

内容を理解しながらシャドーイングを行うには集中力が必要です。1日、5分でも10分でもいいので集中してトレーニングしましょう。BGMのように英語を流しながらリピートしても効果は見込めません。1時間のリスニングより10分のシャドーイングです。

4.2 コンテキストをつかむ

細かな情報が聞きとれなかったとしても気を取られず全体の話の流れ(コンテキスト)をしっかりつかむようにしましょう。ひとつの単語の聞き取りに夢中になって、次のフレーズが頭に入ってこなかった、といったことがないように注意しましょう。意味を理解しながら聞いていれば、一つや二つ単語が聞き取れなくても全体像が分かるはずです。

4.3 思いを込めて行う

大切な人に語りかけるようにシャドーイングしましょう。大切な人に何かを語りかけるとしたら言葉にその思いや気持ちを込めるのではないでしょうか?気持ちを込めてシャドーイングを行ったほうが、機械的にやるよりもずっと内容の理解が深まります。

4.4 必ず声を出して

シャドーイングは必ず声に出して行ってください。声を出さずに行うシャドーイングでは効果はありません。一人で部屋で練習する時も、大勢の人があなたのシャドーイングを聞いていると想像しながら練習してください。

4.5 だけど声のボリュームは控えめに

シャドーイングは聴きながら話す、という2つの行為を一度におこなうマルチタスク練習です。そのため、ご自身の声でスピーカーの声を遮らないようにすることがとても大切になります。イメージとしては、聴くことに7割、話すことに3割のエネルギーを割く感覚です。
全ては聴くことから始まる、くらいの意識で話す声は小さめにして取り組んでみましょう。

4.6 ゆっくりと発音する

シャドーイングは早口になってしまうと練習の効果が出にくいです。理想は音声と同じスピードで言えるように何度も練習することですが、慣れるまでは音声の再生速度を遅めにして、一つ一つの音のつながりなどを意識して発音してください。

4.7 最後までやり切る

一度言いかけた文章は最後まで完結させましょう。途中で聞こえてきた単語がわからなくなっても、内容を理解していれば別の単語で表現できます。途中でやめて次の文章に進むのではなく、最後までやり切ってから次に進みましょう。

5. シャドーイングの注意点

シャドーイングは「理解していないことは話せない」「物をよくわかっていなければ口頭で再現できない」という通訳理論上の鉄則が如実に現れる練習です。これは、母語である日本語でも自分が知らないことについて話をされると、意味がつかめず、記憶にも残らない、すなわち口頭で復唱もできないという状態と同じです。通訳者も、知らないことは基本的に訳せません。

この対策は、まずモノをよく知ること、話されている内容をよく理解することが第一歩となります。
日本語訳をよく理解し、英文も繰り返し音読して、英語でも意味が分かった状態でシャドーイングに移るようにしましょう。それでもスピードなどが影響して難しいこともあると思いますので、慣れるまで文面を見ながらのシャドーイングでも構いません。この時、できる限り音に意味を乗せるように、音の上がり下がりも意識しましょう。こうすることで情緒価値が高くなります。情緒価値が高いと記憶に残りやすくなります。

6. シャドーイングをマスターするための訓練法

シャドーイングは音声とテキストがあれば、いつでもどこでもすぐに始められる英語学習方法ですが、正しく行わなければ効果が限定的になってしまいます。

通訳エージェントである(株)テンナイン・コミュニケーションが開発したOne Month Programでは、毎日シャドーイングの音声を提出し、日本人トレーナーが細かく添削してお戻ししますので正しいシャドーイングが身に付きます。
毎日90分の自己学習で使われる教材はビジネスに特化したオリジナル教材ですので、今日学んだことを明日仕事の現場で使える実践的な内容となっています。

シャドーイングのほかにも通訳学習メソッドであるディクテーション、英作文といった自己学習と週に2回の欧米系ネイティブ講師とのマンツーマンオンラインレッスンで、英語でのコミュニケーション力を短期間で強化します。

プログラムはレベルに分けてStandardコースAdvancedコースMasterコースの3つがあります。
AdvancedコースとMasterコースはこれまでなかった英語上級者の方に特化したコースとなっています。

いずれのコースも1か月で完結できる集中プログラムのため、海外赴任前や転職前など、短期間で英語力を強化したい多くのビジネスパーソンにご利用いただいています。

無料オンラインカウンセリングで日本人トレーナーがプログラムの詳細をご説明いたします。

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One Month Program

グローバルで活躍できる人材のための英語情報を発信します。
ビジネスに特化した1か月の超短期集中英語プログラム
https://www.ten-nine.co.jp/onemonthprogram/
運営会社:【通訳・翻訳・英語教育】テンナイン・コミュニケーション
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