英語上級者の勉強法5つのポイント-同時通訳者が解説-
TOEICの点数が800点を超えていて、会話やメールもこなしているけれども、ビジネスでもっと自分の言いたいことを表現したい、そのためにどう英語を勉強すればよいかというお悩みをよくお聞きします。
たくさんある英会話スクールや教材・英語学習方法は、残念ながら初級・中級レベルの方向けがほとんどで、英語上級者の方が満足できるプログラムは多くありません。
また、ビジネスで英語を日常的に使っている方であるほど忙しく、英語学習に充てられる時間が限られています。
そんな英語上級者の方が効率的に英語を勉強するにはどうすればよいかについてご紹介します。
目次
1. 英語上級者とは
1.1 英語上級者の定義
英語を学ぶ動機として「ペラペラ話せるようになりたい」「英語で意思疎通ができるようになりたい」ということをよく耳にします。いわゆる英語の上級者を目指したい、ということなのですが、「上級者」とはいったいどのようなレベル、人を指すのでしょうか。TOEICで満点を取った人でしょうか?それとも、発音が綺麗な人?英語でジョークが言える人?
どのような場面で英語が求められるかによって定義も変わりますが、ビジネス英語における英語上級者の定義として「どれくらい高い精度でコミュニケーションが取れるか」が考えられます。つまり、日本語で何かを伝える場合を100%とした時に、英語でもこの精度が100%に使い人が上級者といえると思います。
1.2 英語上級者の感じる課題
英語上級者となると、同僚の外国人エンジニアと要件についてすり合わせたり、外国人の上司に報告をしたり、といったような仕事の進め方をすることができます。
周りから見ると「ペラペラでうらやましい。」「自分の英語学習のロールモデルにしている。」と英語を極めた存在のように感じられますが、英語上級者の人たちにも課題はあります。
むしろ英語上級者だからこそ、自分の英語力の限界を正確に把握できるため、より細かく具体的な課題を感じています。
そして、細かい課題を認識しつつも、例えば「市販の教材やオンライン英会話を受けるだけでは英語が伸ばせるとは思えない」といったように、どのようにして克服すればよいか分からない、というのは英語上級者が感じる最も大きな課題かもしれません。
2. 英語上級者が気を付ける落とし穴
2.1 その英語学習はあなたの「課題」に合っているか
これまで多くの方からの英語学習に関する相談を受けてきましたが、
「おすすめの教材はありますか?」
「効率的な学習方法はありますか?」
これらは必ずと言っていいほど聞かれる質問です。
これは上級者に限ったことではないですが、教材や学習方法といった「手段」の前に、なぜ英語を勉強しなければならないのかといった「目的」や、どんなことに苦手意識を感じたり、苦労したりするのかといった「課題」を考えてみることがとても重要です。
2.2 英語の弱点をブレイクダウンする
慣れないと少し難しいかもしれませんが、自分が今感じている課題(弱点)を細分化してみることはとても有効です。例えば、「外国人社員が多く参加するオンライン会議で発言が出来ない」といった課題の場合、
- 会話が勝手に進んでしまう
→リスニングの問題?慣れないアクセント? - 話に割り込めない
→知っているフレーズのアウトプット練習不足? - 相手の顔が見えないので不安を感じる
→英語だけではなく、オンラインならではの心理的な問題? - 伝えきれているか不安
→単語、表現力不足?
といったように細分化してみることによって、どんなことをしたらよいか見えやすくなります。
例えば欧米以外の参加者の会話が聞き取れていない、という課題であれば様々な国のアクセントに慣れるためにTED talksを使ってディクテーション(音声の書き取りトレーニング)をしてみる、といった学習方法が有効だとわかります。
3. 英語上級者向け教材
3.1 英語上級者に共通の弱点
実は、英語のテストで高得点を取得できる方々に共通する弱点があります。それはネイティブスピーカーが容赦なく話すときのリスニング、つまり「音の壁」です。
これまで学習教材として使用してきた綺麗で、くっきりと聞こえる「準備された音声」とは異なる音質、スピード、表現で英語が話されるとき、テストでの英語上級者と呼ばれる方々は苦労するようです。しかしながらコミュニケーションの基本は「聞くこと」にありますので、正確に情報を把握できなければ、どんなに英語を話すスキルが高くとも適切な反応をすることはできません。
では、そんな音の壁を乗り越えるためには、どのような学習をすればよいのでしょうか。
正確なリスニング力を磨いて現状の英語力をさらにアップさせるには、使用する音源選びが重要となります。
3.2 弱点克服のための音声教材
TOEIC900点以上を取得する英語上級者が、ワンランク上のリスニング力を獲得するには、生の音声を使用することがおすすめです。具体的には、CNNやPBS(アメリカ版NHKと考えるとイメージし易いと思います。)の時事ニュースなど、ネイティブスピーカーが普段聞いている音声です。
また、法律系のドラマもおすすめです。いわゆるインテリが容赦ないスピードで高度な英語を話すシーンは、ビジネス現場で実際に話される英語への対策になりますし、プライベートなシーンでの会話は日常の会話練習に役立ちます。これらのシーンで登場する表現やスピーディーな英語の音は英語のテストにはまず登場しません。
それとは逆に上級者におすすめできない教材は、雑音もなく美しい英語の音声で収録されたリスニング教材を使うことです。テスト対策用のリスニング教材や音声付き英語教材のほとんどは、日本人を含むノンネイティブ学習者向けに収録された、クリアで聞き取りやすい音声であることが大半です。
ネイティブとのビジネスシーンで対等にディスカッションを行ったりネゴシエーションをしたりする必要のある英語上級者の方には、整った音声の教材ではなく、先にあげたような「生の音声」がおすすめです。
3.3 「話すため」「正確に聞くため」の市販教材は少ない
日本で一般的に販売されている英語教材は、初~中級者向けのものが大半を占めています。上級者向けのものはそれほど多くは見つかりません。
また、すでに英語について多くを知っている英語上級者が、さらに上を目指すとなると、初・中級レベルの学習者とはかなり異なる勉強が必要です。
多くの英語上級者の方からよく伺うのは、市販教材で学習・レッスンをしてある程度、自分の考えを話せるようになっても「自分が本当に言いたいこと」や「自分の専門領域の話を正確に伝える」ための練習は市販教材では難しい、ということです。
仕事には様々な業種・業態があります。その数だけ日本語も英語も存在するということですから、市販教材では足りないのは想像に難くないはずです。
3.4 なんとなく英語を聞いてないか?
また、リスニングに関しては文字と実際に話される音声をほぼ完全に一致させるスキルがなければ、いつまでたっても「なんとなくしか理解できない聞き方」になります。英語が堪能な帰国子女は、聴いた発言を困難なく書き出せます。それは、音と文字が一致しているからです。
聞こえた英語をなんとなくしか理解できていない、映画やドラマを見ても聞き取れないところがある、という英語上級者はこのスキルが圧倒的に足りないことが多いのです。反対に、表情や文脈からくみ取ったり都合よく要約して聞くスキルは高い人が多いのも現状です。英語のテストではそのようなスキルを用いれば対応できることもあるからでしょう。
そこに目を向けないまま、あれやこれやと教材に手を伸ばしたり、きれいな音声でリスニング練習をしたりするスクールに通って学んでも、自分の思ったレベルには到達しないかもしれません。
また、せっかく良い教材を見つけることはできていても、最適な使い方ができていない場合もあります。
実は英語上級者であるほど、現在のレベルからどうレベルアップするかはそれを熟知した、かつ実践できる人からアドバイスを受けることが上達への近道です。
4. 英語上級者になるための心構え
4.1 英語の目的を明確に
英語が上達したら何をしたいのか明確にする必要があります。英語ができたから、これができるということが一番楽しいですし、モチベーションが上がると思います。
例えば、
- ネイティブとビジネスの場において、ネイティブレベルの交渉やプレゼンを行いたい
- 海外のニュースや会話を字幕なしで理解したい
- 仕事でもプライベートでも外国人と交友を深めたい
- CEFR、IELTSなどで点数アップを狙いたい
- とにかく英語スキルを上げて年収アップにつなげたい
- 仕事でもプライベートでも外国人と交友を深めたい
など、様々な明確な目的があると思うので、「どうして英語を学ぶのか」をご自身に問いかけて素直な答えを出してみましょう。答えが自分自身に素直であれば、その目標に向かい学習していくことは楽しくなるはずです。
5. 英語上級者向けの学習法
5.1 英語の基礎体力をつける
既に高いレベルの英語力をさらにレベルアップするには、意外かもしれませんが英語の基礎体力の増強は有効です。
一流のマラソン選手も一流のサッカー選手も、一流のシェフも、どの分野の人でも、一流と呼ばれている人はやはり基礎のトレーニング部分をきちんと作り上げます。これはプロとして最低限のレベルを維持するためのトレーニングです。
■単語力を上げる
英語の基礎体力とは何か?それはずばり単語力つまり語彙力です。
語彙力を上げる、つまり単語を正確に身につけ、瞬時に口から出せるようにすれば英語は上達します。
覚え方は、人それぞれです。単語帳を使ったり、大きめの付箋に単語を6~7個に書いて、目につく箇所に貼り、目に入ったらいつも口に出して言うようにしてもよいでしょう。三つの単語を覚えたら、新しい三つを追加して新しい紙に書くことを繰り返して、徐々に単語を増やしていきます。
■チャンクで書く
また単語のみではナンバープレートの暗記のように味気ない学習になります。これでは実際の使い方もわからないですから、チャンクで書くようにしましょう。
例えば “reduce” 「減らす・削減する」のみでなく “buy sushi at reduced prices at 5.” 「寿司を5時に値引き価格で買う」などとすると印象にも残りますし、実際の使い方も正確に身につきます。
■センスを磨く
単語の例でいうと、“reciprocate” は「報いを受ける」という意味です。「報われる」という意味の単語であれば “reword” などの単語もあります。ですが “Happiness reciprocates.” で 「他人にしてあげた良い事は巡り巡っていつか自分に戻ってくる」という意味になります。“The love won’t reciprocate.” 「報われない恋」「実らぬ恋」などでも使われる言い回しでもありますから、正しい使い方やその言葉のセンスも学ぶことができます。
5.2 単語力が上がると英語の総合力が上がる
語彙力が上がると、例えば聞き取れないような細かい箇所や文法が複雑で分からない箇所があっても、基礎の語彙力で要点を補うことができ、理解につなげることができます。
つまり単語力がリスニングで足りない部分を補ってくれるのです。平坦で地道な学習ですが、確実な効果があるのが語彙力アップだと思います。1万語近くまで増やすことができれば、様々な場面で聞き取れる、または話せるレベルになります。
6. さらに上を目指し英語最上級者になるには
英語上達の目的を明確にし、基礎体力の増強のために語彙力アップを図ったら、おそらく上級者の皆さんであれば物足りなくなってくるはずです。
自分で思いつく限りの学習方法はすでに行った、ということでしたら、次のステップとしては、英語学習のプロからアドバイスを受けながら学習していくことが非常に効率的だといえるでしょう。
6.1 同時通訳者が開発したプログラム
英語上級者の方がさらなる上を目指して学習できるよう開発されたのがOne Month Programです。One Month Programは「一生で一番英語を伸ばす一ヶ月。」として、忙しいビジネスパーソンの方でも学習を続けて頂けるよう短期間にこだわった1か月のプログラムです。
もちろん1か月英会話レッスンだけをとにかく受ける、というような単純なプログラムではありません。通訳・翻訳エージェントとして関わってきた多くの通訳者、翻訳者の英語学習メソッドを取り入れたトレーニング(シャドーイング、ディクテーション、英作文)が組み込まれています。
■シャドーイング
聞こえてきた文章を、少し間をあけてそのまま繰り返して声に出すトレーニングです。
文章を理解しながら行うことで、「なんとなくしか理解できていなかった英語」を「自信をもって理解できる英語」にしていきます。最近はシャドーイングが英語学習法としてポピュラーになってきましたが、単なるリピーティングではなく効果がありません。実は正しいシャドーイングができていない方も多くいらっしゃいます。
■ディクテーション
聞こえてきた英語を書き取るトレーニングです。
リスニングで聞き取れていない部分を見える化できる、また知らない単語やフレーズを洗い出せるのが特徴です。なんとなく聞こえているのか、それともちゃんと聞き取れているのかが明確にわかります。
■英作文
自分で英文を作成することで、アウトプット力を鍛えられます。
ネイティブの添削、日本人トレーナーの解説により、難しい表現、英語で言いにくい表現にも対応できるようになっていきます。言いたいことを英語で表現できるようになり、スピーキング力もアップします。
One Month Programの中でも最上位クラスのMasterコースは、
- 日常的に仕事で英語を使っている
- 多国籍メンバーとの会議や、オンライン会議での実践力を強化したい
という方向けの、まさに最上級者を目指す向けたコースとなっています。
6.2 ビジネスの本番環境を想定したコース
プログラムは、いずれの内容も上級者ならではのお悩みを解消できるものになっています。
■実際のビジネス場面を想定したオリジナルテキスト
使用するテキストはすべて同時通訳者や翻訳者、英語講師などプロが開発したオリジナル教材です。市販教材や英会話レッスンでは取り扱うことがないような、ビジネス特化タイプの題材でシャドーイングを行って頂きます。「会議をファシリテートする」「顧客からのクレームに対応する」「会議の場で説得、交渉を試みる」などの具体的な場面設定がされていますので、日々の業務でも使い勝手の良い単語や表現を口慣れすることができます。
■アクセントの強い英語やオンライン特有のノイズ入りの音声教材
オーストラリア、スコットランド、インド、マレーシアやシンガポールのアジア系、フィリピン、オランダ、ポーランド、南アフリカ、ドイツなど非ネイティブ圏の英語を、再現しています。また整った音声の教材ではなく、リモート会議を想定したノイズ入りの音声もありますので、コロナ禍の現在に即したリスニング練習も可能です。「なんとなく理解する聞き方」を卒業するために、細かな解説を付けて添削いたします。
■教わるレッスンではなくシュミレーションレッスン
毎週のプライベートレッスンで自習したことのアウトプットができます。
プライベートレッスンは欧米系ネイティブ講師2名による現実味溢れるシュミレーション。講師は会議やディスカッションの場で皆さんが対面する「ネイティブ」として接します。会話を遮って主張をしたり、交渉をしたり、なかなか一人ではできないような会話練習が可能です。
■日本人トレーナーがプログラム全体をサポート
プログラムの最初から最後まで日本人トレーナーがサポートいたします。課題の最適な使い方や正しいトレーニング方法をお伝えします。今のレベルからさらに上がるために、同じく苦労をし、実践をしてきた日本人だからこそアドバイスができます。
7. 英語上級者の勉強法まとめ
上級者になればなるほど知識も増え、初級者のころには悩まなかったことで悩むようになります。
単語や表現ひとつを取っても、バリエーション1つしか知らない方よりも、10知っている方のほうが悩む可能性は高いでしょう。
伸び悩んできた、とは思わずにさらにブラッシュアップできるよう、「課題のブレイクダウン」「正しい教材選び」「上級者の心構え・勉強法」をおこなってください。
そして自己学習が難しいときはぜひOne Month Program -Masterコース-をご活用ください。
One Month Programは忙しいビジネスパーソンの方向けに1か月の超短期集中プログラムとなっています。無料カウンセリングではレベルチェックを含めご自身の課題の洗い出しや効果的な学習方法などもアドバイスしております。お気軽にお問合せください。
Writer
One Month Program
グローバルで活躍できる人材のための英語情報を発信します。
ビジネスに特化した1か月の超短期集中英語プログラム
https://www.ten-nine.co.jp/onemonthprogram/
運営会社:【通訳・翻訳・英語教育】テンナイン・コミュニケーション
https://www.ten-nine.co.jp/